官銭(読み)カンセン

デジタル大辞泉 「官銭」の意味・読み・例文・類語

かん‐せん〔クワン‐〕【官銭】

政府が発行した銭貨。奈良・平安時代に鋳銭司で造られたものなど。

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精選版 日本国語大辞典 「官銭」の意味・読み・例文・類語

かん‐せん クヮン‥【官銭】

〘名〙
① 政府の発行した銭貨。私鋳銭でないもの。
※続日本紀‐和銅七年(714)九月甲辰「不銭、若有実知官銭、輙嫌択者、勅使杖一百」
② 政府の所有する金銭
※参天台五台山記(1072‐73)三「外州請使於軍資庫、先支官銭二百貫文」 〔漢書‐韓延寿伝〕
官位などを得るために出す金。特に、禅宗官寺の住持の資格を得ようとする者が幕府に納入する銭貨。公文官銭(くもんかんせん)
蔭凉軒日録‐文明一七年(1485)五月七日「於官銭者自政元公之云々」
※清原宣賢式目抄(1534)三九条「成功とは官銭也。功を成して官位をあかるへきを、其功を成す代に、銭に出す」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「官銭」の解説

官銭
かんせん

公文銭(くもんせん)とも。室町時代五山(ござん)・十刹(じっさつ)・諸山などの官寺禅院の住持職は,幕府から公帖(こうじょう)という辞令を得て任命されたが,その際,公帖の受領者が幕府に納入する礼銭を官銭と称した。幕府の重要な財源となり,幕府はその増収のため,実際には入寺しない坐公文(いなりのくもん)にまで公帖を発給した。

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世界大百科事典(旧版)内の官銭の言及

【私鋳銭】より


[古代]
 日本古代では律令政府の鋳造した〈官銭〉に対して民間で鋳造された銭貨をいう。律令政府は銭の鋳造発行を独占し,地金より高い法定価値を付与して支払手段として財政的利益を得ていた。…

※「官銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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