日本大百科全書(ニッポニカ) 「宗谷(南極観測船)」の意味・わかりやすい解説
宗谷(南極観測船)
そうや
初代の南極観測船。ソ連(当時)の注文により1938年(昭和13)長崎の香焼(こうやぎ)造船所で竣工(しゅんこう)した耐氷構造貨物船である。契約破棄のため、海軍特務艦として測量、輸送に従事した。50年(昭和25)海上保安庁の所属となり灯台補給船として就役。57年から58年の第3回国際地球観測年の南極観測に日本の参加が決まり、耐氷構造船として観測船に選ばれた。56年の予備観測には1メートルの砕氷能力に改造されて参加、その経験により改造を加え、57年の第一次から62年の第六次までの観測に従事した。その後警備救難業務用船として就航し78年解役された。現在は東京都の船の科学館で公開展示されている。第6次南極観測当時の要目は、2736総トン、全長83.7メートル、幅12.8メートル、深さ9.3メートル、主機関ディーゼル2基、馬力2400馬力×2、速力12.3ノット。宗谷の名は78年建造された砕氷型巡視船が継承している。
[茂在寅男]
[参照項目] |