宋音(読み)そうおん

精選版 日本国語大辞典 「宋音」の意味・読み・例文・類語

そう‐おん【宋音】

〘名〙 漢字音一種。一般に唐音唐宋音と呼ばれる。特に平安中期から鎌倉時代にかけて伝えられた宋・元時代の中国語による漢字音をいう。おもに禅僧によって伝えられ、禅宗関係の語に多く用いる。「行灯」の「行(アン)」、「和尚」の「和(ヲ)」、「看経」の「経(キン)」、「塔頭」の「頭(チュウ)」など。そういん
※三音正譌(1752)上「排斥惑説、本邦中古相伝者、有唐音宋音。未其備矣」

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デジタル大辞泉 「宋音」の意味・読み・例文・類語

そう‐おん【×宋音】

日本における漢字音の一。平安中期から鎌倉時代にかけて日本に伝えられた、時代の中国語の発音に基づくもの。従来唐音とうおんとされていたものの一部で、主に禅僧によって伝えられ、禅宗関係の語に多い。「行火あんか」の「あん」、「普請ふしん」の「しん」、「椅子いす」の「す」の類。唐宋音とうそうおん

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改訂新版 世界大百科事典 「宋音」の意味・わかりやすい解説

宋音 (そうおん)

日本で用いられている字音の一種。〈そういん〉とも呼ばれる。呉音漢音よりおくれて唐末以後に伝えられたものであり,唐音と同義語として用いられるのが普通である。
字音 →唐音
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宋音」の意味・わかりやすい解説

宋音
そうおん

日本の漢字音の一種。「そういん」ともいう。時代的に呉音漢音に次ぐもので,唐末ないし宋以後に伝えられたもの。「行 (アン) 」「鈴 (リン) 」「和 (ヲ〈オ〉) 」など。唐音 (とうおん,とういん) と同義に使うのが普通の用法であるが,強いて区別すれば,平安時代末期から鎌倉時代に伝えられた唐末・宋・元初のものを宋音,それ以後の明・清のものを唐音と呼ぶのが妥当であるともされる。

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百科事典マイペディア 「宋音」の意味・わかりやすい解説

宋音【そうおん】

唐音

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宋音」の意味・わかりやすい解説

宋音
そうおん

字音

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世界大百科事典(旧版)内の宋音の言及

【漢字】より

…また,鎌倉時代に,禅宗の伝来に伴って新しく伝来した道具や食物の呼称などに従来と異なる字音によるものが少なくない。これらを唐音または宋音と呼ぶ。唐音の名は,宋・元・明・清初までの中国字音の日本に渡来したものを総称する。…

【字音】より

…もちろん,訓は中国語の字音の借用ではない(〈馬(うま)〉〈梅(うめ)〉等微妙なケースもないではないが)ので,漢字音ではない。 一方,〈音〉には大別して〈呉音(ゴオン)〉(対馬音(ツシマオン)),〈漢音(カンオン)〉〈唐音(トウイン∥トウオン)〉(宋音)の三つがあり,それぞれ別の字音体系を成している。例えば,〈明〉は呉音ミヤウ,漢音メイ,唐音ミン,〈公〉はそれぞれク,コウ,クンである。…

【唐音】より

…日本漢字音の一種。宋音ともいう。呉音漢音が日本での漢字音として定着したあと,あらたに中国より伝わった漢字音で,古くは平安中期(北宋の時代)に商人によって伝えられた漢字音,鎌倉時代(南宋~元初)臨済・曹洞系の禅僧によって伝えられた主として江南浙江地方の漢字音,江戸時代初期(明末)黄檗宗の祖隠元などによって伝えられた南京官話系の漢字音,同じく江戸時代(清)長崎通事によって伝えられた杭州語と南京官話系その他の漢字音など,その背景はきわめて複雑であり,一概に論じることはできないが,おおまかな特徴は次のとおりである。…

※「宋音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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