安部栄四郎(読み)あべ えいしろう

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「安部栄四郎」の解説

安部栄四郎 あべ-えいしろう

1902-1984 昭和時代の和紙製作家。
明治35年1月14日生まれ。出雲国(いずものくに)製紙伝習所で修業し,家業の和紙づくりにはげむ。昭和6年柳宗悦(むねよし)と出あい民芸運動に参加,雁皮紙(がんぴし)の特色をいかした出雲民芸紙創作。43年人間国宝。昭和59年12月18日死去。82歳。島根県出身。著作に「出雲民芸紙譜」「和紙三昧(ざんまい)」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の安部栄四郎の言及

【雁皮紙】より

…現在,雁皮紙の用途は,金箔等を打ち延ばす箔打紙,襖の下ばり用となった間似合紙,金糸や銀糸の地紙(台紙),仮名料紙,民芸紙の一部等である。とくに安部栄四郎(1902‐84)の雁皮紙の厚紙は,民芸運動の柳宗悦がほめ,それが民芸紙誕生の機縁となったものである。安部は雁皮を黒皮のまま使って,力強い光沢を発揮しており,1968年に重要無形文化財〈雁皮紙〉の保持者に認定された。…

【民芸紙】より

…このように手漉和紙本来の特色が失われる傾向に対し,知識人の間で批判はあったが,とくに昭和初期から民芸運動を活発に指導していた柳宗悦は強く反対した。柳は1931年に島根県松江市で開催した新作民芸品の展示会のおりに,当時,29歳の安部栄四郎(1902‐84)の漉いた厚手の雁皮紙を賞賛したのが機縁となって,安部の東京における紙の個展や雑誌《工芸》の和紙特集(1933)などによって,民芸紙の内容が整ってきた。それは,コウゾ,ガンピ,ミツマタの未晒紙(みざらしがみ),植物染紙,粗い繊維の筋などを入れた素朴な装飾の紙などで,装丁,襖紙(ふすまがみ),色紙,短冊,封筒,案内状などの用途を配慮したものであった。…

※「安部栄四郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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