安西水丸(読み)アンザイミズマル

デジタル大辞泉 「安西水丸」の意味・読み・例文・類語

あんざい‐みずまる〔‐みづまる〕【安西水丸】

[1942~2014]イラストレーター作家漫画家東京の生まれ。本名渡辺昇。都会的で温かみのある画風で人気を集めた。村上春樹との共著村上朝日堂」シリーズでも知られる。他に、小説アマリリス」、漫画「青の時代」、絵本「がたんごとんがたんごとん」など。

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知恵蔵 「安西水丸」の解説

安西水丸

日本のイラストレーター、マンガ家、エッセイスト、作家。本名は渡辺昇。
1942年、東京都生まれ。7人兄弟の末っ子。中学生の頃からイラストレーターを志望し、バウハウスシステムでグラフィックデザインを学べることや語学など一般教養の学科が充実していることから日本大学藝術学部に入学。65年、同美術学科造形コース卒業。卒業後は、電通ニューヨークのデザインスタジオADAC、平凡社でアートディレクターを務め、主にエディトリアルデザインを担当。平凡社に在職中、編集者として同社に勤務していた作家の嵐山光三郎から、一緒に仕事をしないかと声をかけられたのがきっかけでイラストレーションの仕事を始める。76年、嵐山の文章に挿画を提供し、『ピッキーとポッキー』(福音館書店)を出版。81年、安西水丸事務所を設立し、フリーのイラストレーターとして独立した。
都会的で親しみやすく温かみのある画風で知られ、広告、装丁、小説、エッセイなど多方面で活躍した。絵本『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』(福音館書店)、小説集『アマリリス』、エッセイ集『青豆とうふ』(共に新潮社)、訳書『真夏の航海』(トルーマン・カポーティ著 ランダムハウス講談社)など、著書・翻訳書多数。嵐山光三郎の紹介により、雑誌「ガロ」で『青の時代』などのマンガも連載した。小説家の村上春樹と親交が深く、短編集『象工場のハッピーエンド』(CBS・ソニー出版)やエッセイ集『村上朝日堂』(若林出版企画)、『村上朝日堂の逆襲』(朝日新聞社)、『ランゲルハンス島の午後』(光文社)など、主に村上の文章と安西の絵による共著を多数発表した他、村上作品の挿絵を数多く担当した。また、村上の小説に多数登場する「渡辺昇」あるいは「ワタナベノボル」は、安西の本名が元となっている。
朝日広告賞、毎日広告賞、87年日本グラフィック展年間作家優秀賞、88年キネマ旬報読者賞受賞。東京イラストレーターズ・ソサエティ理事長、日本グラフィックデザイナー協会、日本文藝作家協会、日本ペンクラブ、各会員。
2014年3月17日午後2時ごろ、神奈川県鎌倉市内で執筆中に倒れ、病院で治療を受けていたが、19日、脳出血のため死去。享年71。
俳句、植物採集を趣味とし、ペリカンの万年筆を愛用していた。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「安西水丸」の解説

安西水丸

日本のイラストレーター、作家。本名、渡辺昇。1942年、東京都生まれ。65年に日本大学芸術学部美術学科を卒業し、広告代理店・電通に入社。その後、ニューヨークのデザインスタジオADACに就職。帰国後平凡社でアートディレクターを務めた後、フリーのイラストレーターとなった。主な著書に、乳児用絵本『がたん ごとん がたん ごとん』(福音館書店、87年)、小説集『アマリリス』(新潮社、92年)、イラストエッセー『美味しいか恋しいか』(光文社、2002年)などがある。1984年の『村上朝日堂』(若林出版企画より単行本が出版、87年に新潮社より文庫化)から始まったエッセイ・シリーズなど、作家・村上春樹と組んだ作品でも知られている。87年に日本グラフィック展年間作家優秀賞を、88年にキネマ旬報読者賞を受賞。2014年3月19日、脳出血のため死去。享年71。

(2014-3-26)

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