安芸高田(市)(読み)あきたかた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「安芸高田(市)」の意味・わかりやすい解説

安芸高田(市)
あきたかた

広島県中北部にある市。2004年(平成16)吉田(よしだ)、八千代(やちよ)、美土里(みどり)、高宮(たかみや)、甲田(こうだ)、向原(むかいはら)の6町が合併、市制施行して成立した。この6町は、合併以前は高田郡の6町であったが、安芸高田市の誕生により、高田郡はなくなった。北は島根県、南は広島市と接する。総面積は537.71平方キロメートルで、市域面積の約80%が森林である。ほぼ中央を江の川(ごうのかわ)(可愛(えの)川)がぬって流れる。JR芸備(げいび)線、国道54号、433号、中国自動車道が通じ、高田インターチェンジがある。

 米作、野菜、花卉(かき)、酪農などの農業と林業が盛んである。高田ナシの発祥地としてその栽培が有名。土師(はじ)ダムによってできた八千代湖周辺など、観光開発も進んでいる。

 古墳時代の史跡が残り、中世には、毛利(もうり)氏と尼子(あまご)氏の争乱の地となった。安芸高田市の前身である高田郡6町域は、戦国時代に毛利元就(もとなり)が吉田郡山(こおりやま)城主となって統一された。吉田は江戸時代は広島城下と山陰地方を結ぶ街道の宿場町として栄えた。市内には、毛利氏ゆかりの史跡が多く、元就をはじめ毛利一族の墓、古戦場跡、国指定史跡である郡山城跡、多治比猿掛(たじひさるがけ)城跡のほかにも多くの城跡がある。毛利氏の祈願所であった清(すが)神社、高林坊、理窓院といった歴史ある寺社も残る。高宮に伝わる田植え時の行事「安芸のはやし田」は国指定の重要無形民俗文化財出雲(いずも)文化の影響が強く、神楽(かぐら)などの芸能がよく伝わる。船佐・山内逆断層帯(ふなさやまのうちぎゃくだんそうたい)は国指定天然記念物。江戸時代の豪農の住居であった児玉(こだま)家住宅などの文化財がある。人口2万6448(2020)。

[編集部]


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