安本丹(読み)あんぽんたん

精選版 日本国語大辞典 「安本丹」の意味・読み・例文・類語

あんぽん‐たん【安本丹】

〘名〙
① おろか者をいう。薬の名になぞらえた語。
※浄瑠璃・奥州安達原(1762)四「汝(おのれ)がほんのあんぽん丹、付けう薬のない」
② 魚「かさご(笠子)」の異名寛政一七八九‐一八〇一)の末頃、江戸市中に出盛ったが、まずかったのでいう。また、「かさご」を売る人。
※雑俳・柳多留‐四〇(1807)「馬鹿も海あんぽんたんも海で出来」
③ らくがんの一種南京豆(なんきんまめ)の殻のような形で、軽く、口の中ですぐ溶ける。かさはあるが、中味が少ないところからいう。
※蛍(1944)〈織田作之助〉「おちりが京塵紙、あんぽんたんが菓子の名」
[語誌]本来上方語とされるが、宝暦一七五一‐一七六四)末から江戸でも流行した。語源には諸説があるが、一説にアホウから生じたアホタラ、アホ太郎を、「反魂丹」「万金丹」などの薬名になぞらえたものといわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「安本丹」の意味・読み・例文・類語

あんぽん‐たん【安本丹】

間が抜けていて愚かなこと。また、そういう人。あほう。ばか。薬の名「反魂丹はんごんたん」になぞらえた語。
[類語]馬鹿阿呆あほう魯鈍ろどん愚鈍無知蒙昧もうまい愚昧ぐまい愚蒙ぐもう暗愚頑愚愚か薄のろ盆暗ぼんくらまぬけとんまたわけ馬鹿者馬鹿野郎馬鹿たれ与太郎抜け作おたんこなすおたんちんべらぼう

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