安平(読み)あんぺい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平
あんぺい / アンピン

台湾の南西部にある台南市の一地区。台南市中心部の西約5キロメートルに位置し、台湾海峡に臨む小漁港があり、史跡地でもある。鯤(こんしん)ともよぶ。1623年オランダ人が台湾南部を占領し、この地にゼーランディア城(現、安平古堡(こほ))を築いた。この城は別名を紅毛(こうもう)城、番仔(ばんし)城または王城とよび、台湾最初の城であった。1661年、鄭成功(ていせいこう)が攻略し安平鎮(ちん)と改名、以後台湾府の所在地台南の外港として繁栄したが、曽文渓(そぶんけい)から流入する土砂の堆積(たいせき)により、しだいに港湾機能を失った。現在では城址(じょうし)が昔日のおもかげをしのばせている。

[劉 進 慶]

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精選版 日本国語大辞典 「安平」の意味・読み・例文・類語

あん‐ぺい【安平】

〘名〙 (形動) (「あんべい」とも)
① 安らかにおだやかなこと。平穏。安穏。安泰。
※足利本論語抄(16C)述而第七「孔子はおひと天然恭あるほどに安平なるぞ」 〔周礼‐秋官・小行人〕
② わけもなくたやすいこと。また、いいかげんに対処すること。容易。安易。
※平家(13C前)五「さてはあんべいごさんなれとて、修行にぞ出でにける」
③ 取るに足りないさま。安っぽいさま。
塵袋(1264‐88頃)一〇「人を安平に云ふ時、をれらがと云ふは、われらがと云ふ心歟」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平
あびら

北海道南西部,安平町中央部の旧村域。夕張山地馬追丘陵の間の由仁安平低地に位置する。 1906年村制施行。 1952年村域の一部が分離し追分村設置 (1953町制施行) 。 1954年早来村と改称。 1957年町制施行により早来町が成立。 2006年追分町と合体して安平町となった。地名はアイヌ語のアラピラペツ (片側に崖をもつ川の意) に由来。 1895年鳥取県から入植し,安平川の支流域で米作を始め,安平村をつくった。

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百科事典マイペディア 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平【あんぺい】

台湾の台南市西郊にある外港。明代の万暦年間に漢民族移住。1624年にオランダ東インド会社が占拠してゼーランジア城を築き,台南市内のプロビンチアとともに貿易・経営の中心とした。1662年,明の遺臣鄭成功がオランダ勢力を駆逐し,ゼーランジア城を安平城と改称,鄭氏政権が王城とした。1858年天津条約により開港。日本統治時代の1920年に台南に編入

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デジタル大辞泉 「安平」の意味・読み・例文・類語

あん‐ぺい【安平】

[名・形動ナリ]《「あんべい」とも》
安らかで穏やかなこと。また、そのさま。
「四海の―、たなごころの内に照らし」〈浄・吉野忠信〉
むずかしくないこと。また、そのさま。安易。
「さては―ごさんなれとて、修行にぞ出でにける」〈平家・五〉
軽んじること。安っぽく扱うこと。また、そのさま。
「人を―にいふとき、おれらがといふは」〈塵袋・一〇〉

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普及版 字通 「安平」の読み・字形・画数・意味

【安平】あんぺい

無事。

字通「安」の項目を見る

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