精選版 日本国語大辞典 「安島直円」の意味・読み・例文・類語
あじま‐なおのぶ【安島直円】
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江戸中期の数学者、暦学者。通称は万蔵、字(あざな)は伯規(はくき)、号は南山。出羽(でわ)(山形県)の新庄(しんじょう)藩士で100石をとる。中西流の入江応忠(いりえまさただ)と関流の山路主住(やまじぬしずみ)に数学を習い、関孝和(せきたかかず)や建部賢弘(たけべかたひろ)らの数学を拡張した。建部が開拓した二項式の1/2乗の展開を、1/n乗の展開にまで拡張し、また二重積分の創始も名高い。対数の研究においても、逆対数表をつくる独創性を示す。イタリアのマルファッティGian Francesco Malfatti(1731―1807)の問題に相当する内容をまとめて『三斜三円術』を著す。行列式のラプラス展開、循環小数の研究など優れた業績を残す。整数論では不定方程式
とか、ay2-bx2=1などの問題に解答を与えている。なかでも、円と円の切触問題に、その共通切線の長さを利用するくふうは高く評価されている。なお、彼は師の山路主住の作暦の手伝いもした。
[下平和夫]
『平山諦他編『安島直円全集』(1966・富士短期大学出版部)』
江戸中期の数学者。字は伯規,号は南山という。新庄藩(山形県)江戸詰めの藩士。江戸に生まれる。山路主住に数学,天文,暦学を学ぶ。山路の作暦の助手を務めた。安島の研究は独創的で,関孝和や建部賢弘の数学をさらに大きく発展させた。指数1/nの二項展開の公式を完成させ,また,円柱と円柱の相貫体の相貫部の体積を求めるのに初めて二重積分の方法を示した。対数の研究,マルファッティG.Malfattiの定理(三斜三円術といい,互いに外接する3円を三角形に内接させて,3辺の値から円の半径を求める方法)など,多くの優れた業績を残した。墓は東京都港区の常林寺にあり,東京都の史跡に指定される。
執筆者:下平 和夫
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…これらの級数も円理と呼ばれる。安島直円は,ある円柱と別な円柱との相貫体の相貫部の体積を求めるのに,二重積分を利用した。この二重積分を〈円理二次綴術〉と呼んでいる。…
…山路家は代々天文方に勤めた。山路の弟子には,久留米藩主有馬頼徸(よりゆき)(1714‐83),安島直円(あじまなおのぶ)(1732‐98),藤田貞資(1734‐1807)らがいる。安島は山路の作暦の手伝いをし,暦学の研究にすぐれた研究を残した。…
※「安島直円」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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