安堅(読み)あんけん

百科事典マイペディア 「安堅」の意味・わかりやすい解説

安堅【あんけん】

朝鮮李朝,世宗〜成宗時代(1418年―1494年)の画家。忠清道地谷(瑞山)の生れ。字を可度(かたく),号を玄洞子という。中国北宋・南宋時代の山水画画風を学び,当世第一人者といわれた。世宗の第3皇子李【よう】(安平大君)のために描いた《夢遊桃源図巻》は郭煕(かくき)風の山水図で,現存中の代表作。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安堅」の意味・わかりやすい解説

安堅
あんけん
An kyǒn

朝鮮,李朝初期の図画署に所属した職業画家。字は可度,号は玄洞子。安平大君李ように重用され,世宗 29 (1447) 年,李ようのために描いた『夢遊桃源図巻』 (天理図書館) 1巻が残る。画風は郭煕 (かくき) など北宋山水画の系統に属し,朝鮮山水画中の最高傑作とされる。

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世界大百科事典 第2版 「安堅」の意味・わかりやすい解説

あんけん【安堅 An Kyŏn】

朝鮮,李朝初期の画家。生没年不詳。池谷(慶尚南道咸陽)の人で,字を可度または得守,号を玄洞子あるいは朱耕という。宮廷の図画署の画員として世宗~文宗朝(1418‐52)ころに活躍した。30歳前後に世宗王の第3子で,当時の芸術愛護の第一人者でもあった安平大君(1418‐53)李瑢寵愛を受け,大君の中国画コレクションから中国画を大いに学んだ。山水画にもっとも長じたが,その画風は高麗末・李朝初に伝えられた北宗の李成・郭熙派の流れを汲むものと新しく興った明代浙派の画風を巧みに調和させたものである。

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世界大百科事典内の安堅の言及

【李朝美術】より

…作品の様式的変遷に従って李朝絵画は前期(1392‐1550ころ),中期(1550ころ‐1700ころ),後期(1700ころ‐1910)の3期に大別することができる。前期の代表的な画家として,秀文,安堅(あんけん),崔涇(さいけい),姜希顔(きようきがん),姜希孟(きようきもう),李上佐,梁彭孫(りようほうそん),申潜,李巌(りがん)などが挙げられる。これらの画人達によって,宋・元の李郭(りかく)派(李成,郭熙(かくき)がうちたてた華北系の山水画)風,南宋の馬夏(ばか)派(馬遠,夏珪(かけい)の院体画)風および明代の院体画,明初の浙派画風,宋・元の米法(べいほう)山水画風など,中国の主要画風がさまざまに試みられ,その国風化がはかられている。…

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