安倍館(読み)あべたて

日本の城がわかる事典 「安倍館」の解説

あべたて【安倍館】

岩手県盛岡市の中心部に近い、北上川の河岸段丘の上に築かれた城。現在、住宅地の中にあり、本丸跡には八幡宮が建っており、境内から北上川の流れが一望できる。江戸・明治時代には、安倍氏が平安時代に築いた古代の城柵の厨川柵(くりやがわのさく)があった場所とされてきたが、大正時代に行われた発掘調査で、厨川柵の一部、あるいは厨川柵の支城だった嫗戸(おばと)柵のあった場所であるとの見方が有力になった。厨川柵、嫗戸柵は1051年(永承6)の前九年の役で落城。その後清原氏や奥州藤原氏が支配したが、源頼朝が藤原氏を滅ぼして奥州を平定した後、頼朝は伊豆国の御家人の工藤氏を派遣して岩手郡の支配にあたらせた。その工藤氏が当地に厨川(栗谷川)城を築き、厨川(栗谷川)氏を名乗るようになった。現在、「安倍館」と呼ばれている地区にある濠の跡は、この厨川城遺構とされている。1592年(天正20)、厨川城は豊臣秀吉の命令で取り壊された。JR盛岡駅から車で約10分。◇厨川城、あるいは栗谷川城とも呼ばれる。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android