宇和島市(読み)ウワジマシ

デジタル大辞泉 「宇和島市」の意味・読み・例文・類語

うわじま‐し【宇和島市】

宇和島

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日本歴史地名大系 「宇和島市」の解説

宇和島市
うわじまし

面積:一四三・〇六平方キロ

四国山地の南端に位置する鬼が城おにがじよう山・山・権現ごんげん山など一〇〇〇メートル級の山岳を東部に控え、西方が開けて宇和海に面する。市の中心地域は神田じんでん川・辰野たつの川の形成する複合扇状地にあり、郊外には高串たかぐし川・来村くのむら川などの小河川沿いに耕地が展開する。宇和海沿岸はリアス海岸であり、三浦みうら半島(蒋淵こもぶち半島)が宇和海に突出し、島・島・島・日振ひぶり島などの島嶼部を含む。

〔原始〕

市内の考古遺跡には、縄文時代の伊吹町いぶきちよう遺跡、弥生後期の拝鷹山はいたかやま遺跡等がある。前者は土器五〇点、石器二〇点を出土し、石器には大分県ひめ島産黒曜石のスクレーパーがある。中国・瀬戸内方面と九州文化圏の接点としての様相をもつ遺跡である。後者は柿原かきはらにある高地性遺跡で貝塚を蔵し、これも九州・瀬戸内文化圏の影響を多分にうけている。また無月むつき遺跡は縄文前期といわれる。

〔古代〕

「和名抄」にみえる宇和郡四郷は三間みま立間たちま両郷を南限とし、宇和島市域がそのいずれに含まれたのかは明らかではない。市域は、古く板島いたじまと呼称された。妙徳寺大般若経奥書の第一五六巻に「於板道間郷無量禅寺宗益書」とみえ、第三二三巻に応永二九年(一四二二)「於板道間教山寺書」とあって、中世に板道間いたじまと称されていたことは明らかであるが、古代に起源する地名かどうかは不明である。

藤原純友の乱(天慶四年)に際し、「日本紀略」に承平六年(九三六)六月「南海賊徒首藤原純友結党、屯聚伊予国日振嶋、設千余艘、抄劫官物私財」と現宇和島市に属する日振島の地名がみえ、一〇世紀中期にすでに日振島が知られていたことがわかる。

〔中世〕

古代・中世において、宇和島市域が宇和郡の政治・経済の中心地からはずれていたことは、周知のとおりである。暦応三年(一三四〇)一〇月一八日付の清谷寺諸旦那譲状に、宇和郡西園寺大旦那の下に「来村殿一族子孫」とみえる。この来村殿は、宇和西園寺氏の庶子家であり、現宇和島市来村地区に在住したと考えられる。中世に入って開発が進み、市域の北部に板島郷、南部に来村郷という二つの中世郷が形成され、来村殿西園寺氏が板島郷と来村郷のうち祝森いわいのもり三浦みうらの両村を除いた地域を支配したと推定される。

嘉禎二年(一二三六)二月二二日、太政大臣西園寺公経が鎌倉幕府に要望して宇和郡を得、それまでの宇和郡地頭橘氏は仁治元年(一二四〇)閏一〇月一三日、肥前国長島庄地頭に転補されて去った。しかし橘氏の庶子家は宇和郡南部に存続したようで、永仁五年(一二九七)八月二二日来村三島神社に橘忠重が神鏡を奉納している(宇和旧記)

宇和島市
うわじまし

2005年8月1日:宇和島市と北宇和郡吉田町・三間町・津島町が合併
【吉田町】愛媛県:北宇和郡
【三間町】愛媛県:北宇和郡
【津島町】愛媛県:北宇和郡
【宇和島市】愛媛県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇和島市」の意味・わかりやすい解説

宇和島〔市〕
うわじま

愛媛県南西部,リアス海岸の宇和島湾に沿う南予の中心都市。豊後水道に臨み,海岸部の平野や内陸部の盆地に市街地が広がる。南東で高知県に接する。1921年宇和島町が八幡村を編入して市制。1934年九島村,1955年三浦村,高光村,1957年来村,1974年宇和海村をそれぞれ編入。2005年吉田町,三間町,津島町の 3町と合体。中心市街地の宇和島は宇和島藩の城下町。宇和島城は藤堂高虎によって築城された五角形の城で,優れた築城法で知られる国の史跡。天守閣は国の重要文化財。沿岸部には漁具,漁網などの工場が立地し,缶詰工場,水産加工場,造船所などがある。農村部は段々畑が多く,ミカン栽培が行なわれる。宇和海養殖真珠は,全国有数の生産高。藤原純友の乱で知られる日振島は夏の観光地で,沖釣りが盛ん。国の名勝の天赦園や国の天然記念物に指定されている八幡神社のイブキがある。伊予神楽は国の重要無形民俗文化財。闘牛,牛鬼,和霊大祭は有名。滑床自然休養林一帯と宇和海の付近は足摺宇和海国立公園に,南東部の篠山西麓は篠山県立自然公園に属する。JR予讃線,予土線,国道56号線,320号線,378号線が通る。面積 468.19km2。人口 7万809(2020)。

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