宇佐(市)(読み)うさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇佐(市)」の意味・わかりやすい解説

宇佐(市)
うさ

大分県北部にある市。1967年(昭和42)駅川(えきせん)、四日市(よっかいち)、長洲(ながす)、宇佐の4町が合併して市制施行。2005年(平成17)安心院(あじむ)、院内(いんない)の2町を合併。天孫降臨に先だって比売大神(ひめおおかみ)が天降(あまくだ)った宇佐島が当地とされる(『日本書紀』)。JR日豊(にっぽう)本線、国道10号が通じ、387号、213号が10号から分岐、それぞれ熊本と国東(くにさき)に向かい、別府方面とは500号で結ばれる。東九州自動車道・宇佐別府道路の宇佐インターチェンジがあり、国道10号のバイパスである宇佐道路が通る。中津平野の東部を占め、駅館川(やっかんがわ)、寄藻(よりも)川が侵食してつくった沖積低地と、文政(ぶんせい)~天保(てんぽう)期(1830年前後)の干潟干拓新田は米作地、長峰(ながみね)、糸口(いとぐち)、宇佐などの洪積台地は畑、桑畑、果樹園となっていたが、駅館川から水を引いて水田化も進んでいる。1964年、水田用水確保、畑地灌漑(かんがい)、圃場(ほじょう)整備の駅館川流域総合開発事業が始まり、1970年いちおうの完成をみた。また、1963年に低開発地域工業開発地区指定を受け、電気部品、紳士靴下などの小工場が誘致された。四日市は駅館川左岸の段丘上にある市場町で、東・西両本願寺の別院があり、九州屈指の威容を誇っている。

 宇佐神宮は古来皇室、国民の崇敬厚かったが、中央から遠く、交通も不便であったためか、鳥居前町の発達は良好でない。宇佐神宮本殿は国宝、善光寺(ぜんこうじ)の本堂、大楽寺(だいらくじ)の弥勒菩薩坐像(みろくぼさつざぞう)は国指定重要文化財、宇佐神宮の社叢(しゃそう)(イチイガシ林)は国指定天然記念物。このように文化財が多く、1976年に文化財保護都市を宣言した。宇佐台地の川部(かわべ)、高森古墳群を中心とした古墳公園、宇佐風土記(ふどき)の丘が建設され、園内には出土品などを展示する大分県立歴史博物館がある。また、周防灘(すおうなだ)に面する長洲、乙女(おとめ)、岩保(いわほ)の海岸は、ハマグリアサリが豊富で、春から初夏にかけて潮干狩でにぎわう。年中行事に宇佐神宮の諸行事のほか、東・西本願寺別院の「お取越(とりこし)」、長洲地区の精霊(しょうりょう)送りがあり、宇佐飴(あめ)、宇佐ひょうたん、長洲そうめんは名産品。面積439.05平方キロメートル、人口5万2771(2020)。

[兼子俊一]

『『宇佐市史』上中下(1975~1979・宇佐市)』


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