孫正義(読み)そんまさよし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「孫正義」の意味・わかりやすい解説

孫正義
そんまさよし
(1957― )

ソフトバンクグループ株式会社代表取締役。ソフトバンクグループは、ソフトバンクやヤフーをはじめとする日本の主要IT(情報技術)関連企業を傘下に抱えるホールディングカンパニー。

 8月11日、佐賀県生まれ。1980年、アメリカのカリフォルニア大学バークリー校を卒業、また、在学中に考案した「音声装置付き他国語翻訳機」で日本のシャープとライセンス契約をする。1981年(昭和56)、パソコンソフトウェア流通と出版を行う日本ソフトバンクを設立。しかし、1982年に慢性肝炎と診断され、1984年まで療養生活を送る。1990年(平成2)にソフトバンクに社名を変更。さらに2015年(平成27)に現在のソフトバンクグループに社名を変更した。

 ソフトバンクを急成長させた要因はアメリカのヤフー(Yahoo! Inc.)への出資であった。インターネットの急速な普及の追い風を受け、ポータルサイトであったヤフーは広告収入などで急成長した。競合各社と比較してもっとも安価なADSLでのインターネット接続サービスを提供するYahoo!BBの設立で、日本のブロードバンド化を大きく前進させた功績も忘れてはならない。また、固定電話会社である日本テレコム買収、携帯電話事業への参入表明など、豊富な資金力を背景として通信業界の風雲児としての活躍が目だつ。2006年4月にはイギリスの通信会社ボーダフォン日本法人の買収を完了し、同年10月に社名をボーダフォンからソフトバンクモバイルと変更した。買収金額は1兆6935億円である。一方で、あおぞら銀行(旧日本債券信用銀行・日債銀)の筆頭株主となったり(2003年にアメリカの投資ファンドへ売却)、プロ野球の福岡ダイエーホークスを買収(新球団名、福岡ソフトバンクホークス)するなど、社会的にも話題となった。

[中島由弘]

『船橋洋一著『創造的破壊系 日本発世界の経営者たち』(2000・朝日新聞社)』『吉田司・アエラ取材班著『孫正義は倒れない』(2001・朝日新聞社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「孫正義」の意味・わかりやすい解説

孫正義
そんまさよし

[生]1957.8.11. 佐賀,鳥栖
起業家,ソフトバンクグループ創業者。小学生の頃から政治家・実業家を志す。1976年久留米大学附設高等学校を中退して渡米。1980年カリフォルニア大学バークリー校を卒業。在学中に日本語・英独語音声翻訳装置を考案し,シャープと契約した。1981年,日本ソフトバンク設立(1990ソフトバンク,2015ソフトバンクグループに社名変更)。コンピュータ・ソフトウェアの卸売りを日本で初めて手がけて流通市場の 6割を抑え,業界の風雲児として注目された。1982年にパソコン雑誌『Oh! PC』『Oh! MZ』を創刊。1994年7月株式を店頭公開し,1998年1月には東京証券取引所 1部上場を実現。ソフトバンクを持株会社化し,多くのグループ会社を展開した。いわゆる ITバブル期には豊富な資金を使って大規模な企業の合併・買収(M&A)に乗り出し,投資先企業の株価上昇を通じた成長戦略を描いたが,インターネットバブル(→バブル経済)の崩壊で挫折。しかし 2001年にスタートしたインターネットのブロードバンド(高速大容量)接続サービス「Yahoo! BB」は低価格路線がうけ,開始から 1年で加入者 100万人を突破する成功を収めた。中核の IT(情報技術)事業以外でも,2000年にベンチャー企業の上場を促進するため,アメリカ合衆国の店頭株式市場ナスダック NASDAQの日本版,ナスダック・ジャパンを共同で設立したほか,過大な不良債権を抱え破綻した日本債券信用銀行(→あおぞら銀行)を買収するなど,旺盛な起業意欲をみせた。在日韓国人として生まれ,1991年日本国籍を取得した。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「孫正義」の解説

孫正義

ソフトバンク代表取締役社長。1957年佐賀県生まれ。1974年に高校を中退後、16歳で渡米。大学在学中に「音声装置付き多国語翻訳機」を試作し、当時シャープの専務だった佐々木正氏に1億円で買い取ってもらう。1981年に帰国すると、その1億円を資金に日本ソフトバンク(現ソフトバンク)を設立した。銀行の逆選別や資本市場からの資金調達、買収による事業の多角化など、日本の商慣習にならわない新しいタイプの会社経営が注目されている。また、近年では、ブロードバンド事業「Yahoo! BB」の立ち上げ、日本テレコムの買収などが話題になっている。また、2006年にはボーダフォンを買収し、携帯電話サービスにも進出している。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「孫正義」の解説

孫正義 そん-まさよし

1957- 昭和後期-平成時代の経営者。
昭和32年8月11日生まれ。昭和55年カリフォルニア大バークリー校卒業。在学中に音声もでる翻訳機を開発し,シャープと契約。56年日本ソフトバンク(現ソフトバンク)を設立し社長。ソフトバンクテレコム社長,ソフトバンクモバイル社長,福岡ソフトバンクホークスのオーナーなどをつとめる。積極的な提携・買収戦略でマルチメディア事業を展開する。佐賀県出身。

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