学識法(読み)がくしきほう

世界大百科事典(旧版)内の学識法の言及

【法曹】より

…それは,社会的出自や司法・行政上の官職ないし機能と関係なく,法的処理に対する一定の能力と,これと結びついた社会的通用性によって特徴づけられる人間集団(職業身分)である。その職業的能力およびプレステージの基礎となったのはローマ・カノン法(学識法)の勉学であり,これは12世紀以来ボローニャに,またボローニャを範にしてヨーロッパ各地に成立する大学で行われた。 このような(大学で教育を受けた)学識法律家は,まず第1に教会に進出した。…

【法典論争】より

…後年彼自身回顧していることであるが,当時のドイツには前述の2法典に加えてプロイセン一般ラント法といった法典が分立しており,しかも当時の政治情勢からして,〈ウィーン会議〉でそれが改善される見込みはほとんどなかった。したがって,そうした状況の下で全ドイツの法的統一を達成するためには普通法Jus Commune以来の伝統たる〈学識法〉によることが最も現実的であった。事実,復古主義の全盛下であったにもかかわらず,サビニーの樹立した歴史法学は統一的な市民法学を生み出し,やがてその延長線上にドイツ民法典が成立するに至ったのである。…

【ローマ法の継受】より

…中世後期ないし近世初頭の大陸ヨーロッパにおける学識法(ローマ法)の普及,その浸透と同化の過程をいうが,この概念の用いられ方には変遷がある。 元来は17,18世紀ドイツ法学の法源論の分野における概念であり,ローマ法は皇帝ロタール3世(フォン・ズプリンブルク)が帝国法をもって公式にドイツに導入したとする伝説がH.コンリングの手で打ちこわされて以来,ドイツにおけるローマ法の通用力を説明するために,ローマ法はその全体が――《標準注釈》によって解説を付されているかぎり――裁判所の〈慣用によって継受されたusu receptum〉とする理論が立てられたことに由来する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」