孔望山摩崖(読み)こうぼうさんまがい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「孔望山摩崖」の意味・わかりやすい解説

孔望山摩崖
こうぼうさんまがい

中国、江蘇(こうそ/チヤンスー)省連雲港(れんうんこう/リエンユンカン)の南郊にある摩崖(まがい)彫像群。山の南麓(なんろく)には施無畏印(せむいいん)の仏像、円光のある菩薩(ぼさつ)像、花を手にする供養者、石彫の象などのほか、多数の弟子たちに囲まれて横たわっている人物(涅槃(ねはん)図)、地に倒れ伏している人物と虎(とら)(捨身飼虎(しゃしんしこ)図)など、稚拙だが興味深い図像が崖(がけ)に刻まれている。この地は早くから仏教道教が流行していたと伝えられており、いままで中国で発見されたもっとも早い時期、後漢(ごかん)(25~220)の仏教彫刻だとされ注目を集めている。ただし、時代は遅れるとする意見もある。

吉村 怜]

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