家庭医学館 の解説
しきゅうないまくぞうしょくしょうしきゅうないまくいけいぞうしょくしょう【子宮内膜増殖症/子宮内膜異型増殖症 Endometrial Hyperplasia / Atypical Endometrial Hyperplasia】
子宮の内腔(ないくう)をおおっている内膜の全体、あるいは一部が過剰に増殖して、内膜が異常に厚くなってしまいます。
子宮内膜増殖症は、内膜細胞自体には異型がみられませんが、これに対し、細胞異型がみられるものを、子宮内膜異型増殖症といいます。
両者ともに子宮体(しきゅうたい)がん(子宮内膜がん)の前がん状態として扱いますが、子宮内膜増殖症が、がんになるのは数%にすぎないのに比べ、子宮内膜異型増殖症の2~3割程度はがんに進行しますし、がんと合併していることも多くあります。
子宮内膜異型増殖症は子宮体がん進行期分類の0期にあたります(子宮体がん(「子宮体がん」))。
[症状]
不正性器出血や月経量の増加、月経期間の延長をおこすことがあります。月経量が多いかどうかは、他人と比較することがむずかしいのですが、月経血にレバーのようなかたまりが混じる、夜シーツを汚してしまう、血液検査で貧血を指摘されるなどの症状があれば、月経過多を疑ったほうがよいでしょう。
一方、症状がなく、子宮体がん検診で発見されることも少なくありません。
月経不順や無排卵周期の人、40歳代・50歳代の更年期の人におこりやすい病気です。
[検査と診断]
子宮内膜の細胞診を行ない(子宮がん検診(コラム「子宮がん検診」))、異常があれば、精密検査として子宮内膜掻爬術(そうはじゅつ)(子宮内膜組織をかきとって行なう病理組織検査)や、子宮鏡検査(子宮内腔を内視鏡で観察する検査)をして診断します。
また、超音波検査で子宮内膜が厚く不規則にみえる場合は、子宮内膜増殖症や子宮内膜異型増殖症、子宮体がんが疑われます。
[治療]
子宮内膜増殖症の7~8割、子宮内膜異型増殖症の3~4割は、自然に治癒するので、定期的に内膜細胞診を行なっていればよいのですが、症状の強い場合やなかなか治らない場合は、子宮全摘術を行ないます。
また、ホルモン療法を行なうこともあり、女性ホルモンを抑制して子宮内膜の増殖を抑える方法や、女性ホルモンの一種である黄体(おうたい)ホルモンを補充する方法が用いられます。