子守(生活)(読み)こもり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「子守(生活)」の意味・わかりやすい解説

子守(生活)
こもり

幼児のめんどうをみること、またはそれを行う者。単に「もり」ともいう。近年は託児所、保育所、幼稚園などがあって、乳幼児を預かってくれるが、このような施設の充実する以前は、祖母、兄姉、他家の少女などが子守をしてくれることが多かった。子守の形式としては、子供を背負う型と、エジコ・ツグラなどの容器に子供を安置して子守をする型があった。子守奉公ということばもあって、日本本土では、貧しい家庭の子供が雇い人として子守をすることが多かった。しかし沖縄諸島、伊豆七島には、家の貧富を問わず、少女は10歳くらいになると、他家の子供の守(も)りをする風があった。給金はないが、子供の家とは親類づきあいをし、子供とは、血縁の兄弟よりも強く結合しているものである。子守をモリアネとよび、人はだれでもモリアネをもっているものだという。精神的庇護(ひご)者としているのである。沖縄の八重山(やえやま)では、モリ子の結婚には、ムラニノアンマ(モリアネ)が付き添って行くという。子供の成長過程にあって、両親以外に、年長の女性の霊力が子供を守護してくれるという信仰があったのではないかと思われる。

[鎌田久子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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