普及版 字通 「子(漢字)」の読み・字形・画数・意味
子
常用漢字 3画
[字訓] おとこ・きみ・こ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
幼子の象。〔説文〕十四下に十二支の「ね」と解し、「十一、陽气動き、物入す。以てと爲す。象形」と子・(滋)の畳韻を以て解するが、卜文の「ね」にあたる字は、別の字で示されている。卜文では子は「み」にあたる字として用いる。十二支の字の用法は字の初義と関係なく、もちろん十二支獣とも関係はない。子は幼子の象形。卜文・金文において、左右の手を一上一下する形のものがあり、それは王子の身分を示す。卜辞にみえる子・子雀は、おそらく・雀の地に封ぜられた王子の称であろう。のち字(あざな)にこの形式を用いるのはその遺法であるが、所領の関係が失われたのちは、名と字義の対待による。仲由、字は子路、路は人の由る所。顔回、字は子淵、淵は回水の意。子は本来は王子・公子など、貴族身分の身分称号的に用いられたもので、のち一般の児子にもいう。子を代名詞に用いるのは、その身分称号からの転用である。
[訓義]
1. おとこ、男子の美称、身分ある人、身分ある者として生まれたもの、きみ。
2. 徳ある人、先生、学者、士大夫の通称。
3. ひと、人々、わかもの、女子。
4. 代名詞、対称。あなた、きみ、そなた。
5. 親に対する子、鳥獣虫魚の卵、木の実、利息。
6. 微小なもの、微小なものの名の下につける接尾語。帽子・釵子の類。
7. 五等の爵の第四等。蛮夷の君も子という。
8. 書籍の分類上、思想的な内容の書。経史子集の一。
9. 滋に通じ、ふえる、いつくしむ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕子 コ・ミ・タネ・ヒト・キミ・ナムチ・ネ・ミル・ウヤマフ 〔字鏡集〕子 クハシ・ウヤマフ・アイス・ヲシム・ミ・タネ・ナムチ・シゲシ・ワランベ・コ・キミ・ミル・ヒト・チゴ
[部首]
〔説文〕に孕・字・季・孟・存・疑など十四字、〔玉〕に孝・孛・呆・孜・學(学)など約二十字を加える。右のうち疑には子の字形を含まず、また孛(はい)は花が落ちて花に実をつけかけた形で、下部は子の字ではない。
[声系]
〔説文〕に子声として孜・李・仔・字など六字を収める。字は生子を中に伴って祖霊に謁する礼で、これによって養育が定まる。そのとき字(あざな)をつけるので、また養育の意がある。
[語系]
子・・(滋)tziは同声。みな滋生の意がある。字dziも同系。〔説文〕十四下に「するなり」とあり、乳の意とするが、字の本義は見の礼である。
[熟語]
子愛▶・子衣▶・子胤▶・子花▶・子規▶・子▶・子宮▶・子虚▶・子衿▶・子恵▶・子月▶・子鵑▶・子戸▶・子午▶・子孝▶・子穀▶・子細▶・子史▶・子嗣▶・子爵▶・子書▶・子女▶・子職▶・子神▶・子姓▶・子婿▶・子石▶・子銭▶・子占▶・子息▶・子孫▶・子男▶・子弾▶・子注▶・子弟▶・子都▶・子道▶・子父▶・子婦▶・子母▶・子卯▶・子本▶・子夜▶・子養▶・子来▶
[下接語]
哀子・悪子・椅子・遺子・因子・王子・皇子・茄子・菓子・嫁子・子・碍子・客子・学子・甲子・柑子・漢子・鉗子・季子・鬼子・棋子・鞠子・挙子・局子・金子・銀子・君子・子・継子・子・元子・原子・孤子・子・吾子・公子・孝子・餃子・国子・黒子・骨子・才子・妻子・簀子・冊子・士子・史子・死子・嗣子・獅子・児子・弱子・子・種子・豎子・孺子・舟子・衆子・従子・処子・庶子・諸子・女子・娘子・世子・生子・赤子・先子・扇子・子・宗子・草子・息子・族子・子・孫子・多子・太子・托子・卓子・男子・稚子・質子・嫡子・冑子・長子・冢子・銚子・調子・丁子・弟子・適子・天子・子・子・童子・瞳子・緞子・内子・日子・乳子・子・婢子・百子・拍子・夫子・瓶子・別子・母子・胞子・眸子・帽子・牧子・払子・面子・遊子・余子・陽子・様子・養子・乱子・利子・良子・量子・郎子
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報