媒染(読み)ばいせん

精選版 日本国語大辞典 「媒染」の意味・読み・例文・類語

ばい‐せん【媒染】

〘名〙 染料繊維に直接染まらない時、繊維を特定薬剤に浸し、その作用によって染料を固着する染色法。
※新美装法(1916)〈藤波芙蓉〉「現今自ら進歩した或は植物性などと称して居るものの多くは、そが媒染料として過酸化水素水をつかって居る」

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デジタル大辞泉 「媒染」の意味・読み・例文・類語

ばい‐せん【媒染】

染料が直接に繊維に染着しないとき、繊維を媒染剤溶液に浸して染料を固着させる染色法。

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化学辞典 第2版 「媒染」の解説

媒染
バイセン
mordanting

ある繊維を直接染着性のない染料で染色する場合,あらかじめ適当な薬剤(媒染剤)でその繊維を処理して,染色を可能にする染法.
(1)セルロース繊維塩基性染料
(2)木綿羊毛,絹の媒染染料
(3)羊毛,絹,ナイロンの酸性媒染染料
による染色がそれである.媒染剤として,
(1)ではタンニン酸およびカタノール,アルバテックスなどの合成品,
(2)にはクロムアルミニウム,鉄,銅,スズなどの多価金属塩,
(3)には重クロム酸カリなどクロム化合物が,
用いられる.ただし,(1)および(2)は現在実用性はなくなっており,(3)のみが羊毛を主とする堅ろう染色に用いられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「媒染」の意味・わかりやすい解説

媒染
ばいせん

繊維に対して染着性をもっていない染料 (媒染染料) で染色する場合に,その染料と結合し不溶性な有色化合物を生成する薬剤であらかじめ繊維を処理する操作。繊維に対してこの操作を行なったのち,媒染染料で処理すれば染色を行うことができるので,いわば染色の媒介をすることになる。たとえば羊毛は,二クロム酸塩シュウ酸を含む液に入れて煮沸することで媒染処理を行なったのち,媒染染料で処理すれば染色することができる。

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世界大百科事典(旧版)内の媒染の言及

【酸性媒染染料】より

…媒染とは,金属塩(媒染剤)で前処理した繊維をこれと結合する染料で染めることをいう。金属としてはクロムがよく用いられていたことからクロム染料ともいう。…

※「媒染」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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