(読み)あね

精選版 日本国語大辞典 「姉」の意味・読み・例文・類語

あね【姉】

〘名〙
① 親を同じくする者同士で、年上女性実姉いろね。⇔
古事記(712)上「又『汝の兄弟(はらから)有りや』と問ひたまへば、『我が姉、石長比売在り』と答へ白しき」
※伊勢物語(10C前)一六「尼になりて、あねのさきだちてなりたる所へ行くを」
② 妻や夫の姉妹で、妻や夫より年上の女子、また、兄の妻など。義姉義理の姉。
※アパアトの女たちと僕と(1928)〈龍胆寺雄〉六「義母(はは)も義姉(アネ)たちも異分子として僕を認めるほどの関心すら、僕には持たなかった」
③ ひろく女性を親しんで呼ぶ称。
※涅槃経集解巻十一平安初期点(850頃)「姉(アネ)と、我も亦是のごとし」
④ 女性が他の者よりも年長であること。
※あさぢが露(13C後)「しきぶの大夫うせて後いま七八年のあねなれどもかたらひつきて」
河東節・灸すへ巖の畳夜着(1726)「世話になるをば姉といひ、うきを語るを妹と、名を呼かはす世界なり」
[語誌]姉妹を指す語として、年齢を区別しない「いも」「いもうと」もあり、平安時代までは「あね」とも「いもうと」とも呼んだ。例えば「源氏物語」の空蝉(うつせみ)という女性は、弟の小君(こぎみ)から両方の語でよばれている。その場合、「あね」は法制的な続柄、「いもうと」は近しく暮らす間柄という違いであったらしい。→いもいもうと

あねえ【姉】

〘名〙 (「あね(姉)」の変化した語)
① =あね(姉)
※雑俳・柳多留‐二九(1800)「あねへは女郎弟は角兵へ獅々」
② 若い女を親しんで、また、気軽に呼ぶ語。ねえさん。
洒落本・多佳余宇辞(1780)「どうだ姉(アネ)ヱかわる事もねへか」
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三「ヲイヲイあねへ、親方に〈略〉焼鍋を一枚あつらへてくんな」
③ 妻を呼ぶ語。
※洒落本・筬の千言(1812頃)下「姉ヱ〈女房の事也〉茶碗壱つくれ」

あんねえ【姉】

〘名〙 (「あんねい」とも。「あね(姉)」の変化した語)
① ねえさん。先輩格の女や、単に若い女を呼ぶのに用いることが多い。
咄本・蝶夫婦(1777)見物「あんねへもせなあも出て見され」
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)二「わしもハイ、此内では、あんねいあんねいといわれる、女郎でおざいます」
② 娘。
※随筆・裏見寒話(1753)付録「あんねい 娘の事」

し【姉】

[1] 〘名〙 きょうだいのうち先に生まれた女子。あね。
[2] 〘接尾〙 同輩以上の婦人に対し、その氏名に添える敬称。

いね【姉】

〘名〙
① 「姉」の女房詞。
② 下女。女中。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「姉」の意味・読み・例文・類語

あね【姉】

きょうだいのうち、年上の女。⇔
《「義姉」とも書く》妻や夫の姉。また、兄の妻。義姉ぎし
(「あねさん」などの形で)女性を親しんでいう語。
[類語]お姉さん姉ちゃん姉御姉さんお姉ちゃん姉貴姉上実姉義姉兄嫁長姉次姉亡姉愚姉令姉賢姉

し【姉】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]あね
学習漢字]2年
〈シ〉
あね。「姉弟姉妹義姉実姉長姉
女性に対する敬称。「貴姉諸姉大姉
〈あね〉「姉上姉御
[名のり]え
[難読]従姉いとこ従姉妹いとこ

し【姉】

[接尾]同輩の女性の氏名に付けて、尊敬の意を表す。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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