精選版 日本国語大辞典 「妹」の意味・読み・例文・類語
いも‐うと【妹】
〘名〙 (「いもひと(妹)」の変化した語)
※伊勢物語(10C前)四九「昔、男、いもうとのいとをかしげなりけるを見をりて」
② (兄妹になぞらえて) 男の側から、親しい女性をさしていう。いも。
※枕(10C終)八二「このいもうと、せうとといふことは、上(うへ)までみな知ろしめし、殿上にも、司(つかさ)の名をば言はで、せうととぞつけられたる」
③ 女のきょうだいのうち、年下のほう。⇔姉。〔十巻本和名抄(934頃)〕
④ 妻や夫の妹、弟の妻など。義妹。
[語誌](1)平安時代に成立した語。「せうと(しょうと)」と対をなして用いられた。妻や恋人は指さないが、異腹の姉妹を指すところが上代の「いも」と異なる。
(2)平安時代には男性側が使う言葉であり、女性が自分の年下の女きょうだいを指して用いた例は見あたらない。
(3)「おとうと」と男女別の対をなすようになるのは中世以後である。→いも・せうと。
(4)一般的に、「妹」「弟」のような年下の方を表わす語は年上からの呼びかけとしては使わない。名前、あるいはあだ名のようなもので呼ぶのが普通である。逆に、兄弟姉妹の年下は年上に対して、名前そのもので呼びかけはせず、「兄さん」「姉さん」あるいはそれに準じた呼び方、またはあだ名のようなもので呼ぶことが多い。
(2)平安時代には男性側が使う言葉であり、女性が自分の年下の女きょうだいを指して用いた例は見あたらない。
(3)「おとうと」と男女別の対をなすようになるのは中世以後である。→いも・せうと。
(4)一般的に、「妹」「弟」のような年下の方を表わす語は年上からの呼びかけとしては使わない。名前、あるいはあだ名のようなもので呼ぶのが普通である。逆に、兄弟姉妹の年下は年上に対して、名前そのもので呼びかけはせず、「兄さん」「姉さん」あるいはそれに準じた呼び方、またはあだ名のようなもので呼ぶことが多い。
いも【妹】
〘名〙
① 男性の側から、同腹の姉妹を呼ぶ語。年齢の上下に関係なく、姉をも妹をも呼ぶ。いもこ。⇔兄(せ)。
※古事記(712)上「次に成れる神の名は、宇比地邇上神(うひぢにのかみ)、次に妹(いも)須比智邇去神(すひぢにのかみ)」
② 男性から結婚の対象となる女性、または、結婚をした相手の女性をさす称。恋人。妻。⇔兄(せ)。
※古事記(712)上「是に其の妹(いも)伊邪那美命を相ひ見むと欲して、黄泉国(よみのくに)に追ひ往く」
※古今(905‐914)恋一・四八五「かりごもの思ひ乱れて我恋ふといも知るらめや人し告げずは〈よみ人しらず〉」
③ 年ごろの若い娘。お嬢さん。娘さん。
※古事記(712)中・歌謡「本辺(もとへ)は 君を思ひ出 末辺(すゑへ)は 伊毛(イモ)を思ひ出」
④ 女性が同性の友人や自分のいもうとなど親しい女性をさしていう。あなた。
いも‐と【妹】
〘名〙 「いもうと(妹)」の変化した語。
※書紀(720)履中即位前(図書寮本訓)「己が妹(イモト)日(ひ)之媛(ひめ)を献る」
※史記抄(1477)一一「嫂はあによめ、妹はいもと、妻はめ、妾は下女ぞ」
いむ【妹】
〘名〙 「いも(妹)」の上代東国方言。
※万葉(8C後)二〇・四三二一「かしこきや命(みこと)蒙(かが)ふり明日(あす)ゆりや草(かえ)が共(むた)寝む伊牟(イム)なしにして」
も【妹】
〘名〙 「いも(妹)」の変化した語。
※万葉(8C後)二〇・四三八八「旅とへど真旅になりぬ家の母(モ)が着せし衣に垢つきにかり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報