女芝居(読み)オンナシバイ

デジタル大辞泉 「女芝居」の意味・読み・例文・類語

おんな‐しばい〔をんなしばゐ〕【女芝居】

女だけで演じる芝居。また、その劇団

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精選版 日本国語大辞典 「女芝居」の意味・読み・例文・類語

おんな‐しばい をんなしばゐ【女芝居】

〘名〙
① 女だけでする芝居。また、その劇団。⇔男芝居
古今役者大全(1750)四「女芝居(ヲンナシバヰ)永祿の頃にはじまり」
② 特に、明治中頃生まれた、女性だけによる歌舞伎劇市川九女八中村歌扇などの一座が著名。
※明治世相百話(1936)〈山本笑月〉女芝居は明治の産物「女芝居も馬鹿にはできぬと見巧者も舌を巻いた」

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改訂新版 世界大百科事典 「女芝居」の意味・わかりやすい解説

女芝居 (おんなしばい)

明治~大正期に行われた女性のみによる歌舞伎芝居をいう。徳川家大奥または諸大名の奥向は男子禁制であったため,娯楽として歌舞伎狂言を提供するため出入りし,その禄をはんでいた女性があり,どこまでその上限が遡及しうるかさだかでないが,おそくとも安永期(1772-81)にはかなり大がかりな舞台が大名屋敷内にできていた例(《宴遊日記》における柳沢家)がある。これらの,いわゆる〈お狂言師〉たちが,明治維新によって職を失い,ちまたに流出したが,その一部が一座を組んで一般の劇場で女性だけの歌舞伎を興行した。主として東京神田三崎町の三崎座などを本拠として活躍。著名な女役者に,市川九女八(岩井粂八),中村仲吉(翠蛾),中村仲次,市川鯉昇,松本錦糸,中村歌扇らがあった。女ながらあらゆる役柄をこなし,腕のたつ人々が輩出したが,一つのジャンルとして確立しえぬまま滅んだ。その晩期には新派俳優らとの男女合同劇も行われ,女優の出現する以前の過渡的な役割をも果たした。1948年に結成された〈市川少女歌舞伎〉は,歴史的背景から芸質・履歴にいたるまで,いわゆる女役者とは異質の成立過程であったが,しばらく行われてやんだ。
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