女紅(工)場(読み)じょこうば

改訂新版 世界大百科事典 「女紅(工)場」の意味・わかりやすい解説

女紅(工)場 (じょこうば)

明治初期,女子に裁縫機織,袋物,押絵などの手芸をさずけ,あわせて読・書・算の初歩や礼法を教えた簡易な教育機関を主としていう。これらの手芸を〈女紅〉とも称したので,女紅場といわれたが,〈女工場〉〈女紅伝習所〉などといったところもある。学校制度が未整備であった明治初期に,関西を中心に一定の普及をみた。しかし女紅場のなかには,1872年(明治5)に設立された京都府立女紅場のように,イギリス人女教師による英語の教授とともに女紅をさずけるなど,中等教育機関に相当するものもあった。京都府では,74年に女紅場規則を制定し府下小学校に女紅場の付設を奨励しただけでなく,76年からは府立女紅場で女紅場教師の養成も行っている。一方,75年に新潟県が県女紅場を開設し,神奈川県でも77年から機械原料などを貸与して機織の仕事をする女紅場開設を各地で奨励しているが,これらは,教育機関というより,授産所あるいは特産物づくりの場という性格のほうがつよかった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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