普及版 字通 「契(漢字)」の読み・字形・画数・意味
契
常用漢字 9画
(旧字)
9画
[字訓] きざむ・わりふ
[説文解字]
[字形] 会意
旧字はに作り、(けい)+大。は刀で(かい)形のきざみを加える意。大は人の正面して立つ形。おそらくもと人の額(ひたい)などに契刻を加えて、家内奴隷としての身分を示したものであろう。契刻を加えられた人自身が、契約の対象者であった。同じく家内奴隷を意味する童・妾は、額に辛(針)で入墨することを示す字である。入墨には絵身・黥涅(げいでつ)・刻画などの方法があり、契は刻画の方法によるものをいう。一般の契約は木に鑿歯(さくし)を加えるような方法で行われた。〔列子、説符〕に、人の遺契をえて、その鑿歯を数え、これを喜ぶ男の話がある。
[訓義]
1. 約束のしるしとして、きざむ。きざんだしるし。
2. きる、かく。
3. わりふ、てがた、ちぎる。
4. 契契(けつけつ)は苦しむさま。
5. 契(せつ)は古代王朝の商(殷)の祖。字はまた(せつ)・(せつ)に作る。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 カナフ・チギリ・タツ・マドカナリ 〔字鏡集〕 タユ・キザム・カナフ・チギル・オホキニチギルナリ
[声系]
〔説文〕に声として楔・など八字を収める。楔・(せつ)のような声をもつものがある。
[語系]
・・・楔の古音はkhyatで同声。keat、kheat、(刻)khkは声近く、みな契刻を加える意。・などはその契刻を加える対象によって限定符を取る字である。
[熟語]
契愛▶・契意▶・契印▶・契押▶・契家▶・契会▶・契闊▶・契勘▶・契亀▶・契機▶・契誼▶・契拠▶・契兄▶・契契▶・契券▶・契交▶・契厚▶・契合▶・契紙▶・契字▶・契舟▶・契書▶・契照▶・契状▶・契心▶・契税▶・契銭▶・契▶・契帯▶・契断▶・契弟▶・契臂▶・契票▶・契符▶・契文▶・契母▶・契慕▶・契本▶・契密▶・契約▶・契友▶・契領▶
[下接語]
一契・印契・殷契・雅契・諧契・勘契・期契・偽契・旧契・衿契・券契・賢契・交契・合契・左契・宿契・書契・心契・深契・清契・盛契・託契・鉄契・同契・道契・符契・文契・密契・妙契・盟契・黙契・約契・幽契・蘭契・霊契
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報