普及版 字通 「奏(漢字)」の読み・字形・画数・意味
奏
常用漢字 9画
[字訓] かなでる・すすめる・もうす
[説文解字]
[字形] 会意
奉の上部+(そう)の省文。〔説文〕十下に「奏するなり。夲(たう)に從ひ、廾(きょう)に從ひ、(てつ)に從ふ。は上の義なり」とし、また夲字条十下に「み趣(おもむ)くなり」とする。〔詩、商頌、那〕の〔箋〕に「奏とは樂を作(な)すの名なり」とあり、もと奏楽の意。次条の皋(こう)字条に「登謌(とうか)を奏と曰ふ」とあり、歌にも奏という。両手で奉ずる形をとるものは、笙のような吹奏の器であるらしく、もと神に奏するものであった。も両手を以て奉ずる形。のち楽歌に限らず、尊貴の人に申すことを奏という。
[訓義]
1. かなでる、神をかなでる、神前に楽をかなでる、神前に歌をすすめる、すすめる。
2. もうす、神前にもうす、尊貴の人にもうす。
3. 申し文、奏状。
4. おもむく、むかう、なす。
[古辞書の訓]
〔字鏡〕奏 マウス・ススム 〔字鏡集〕奏 マツ・フミ・ススム・タテマツル・オクル・マウス・キカシム・ユタカ・ユルス
[部首]
〔説文〕〔玉〕に部首を夲とし、暴・奏・皋などを属する。暴・皋は風雨に暴(さら)されて皋白(こうはく)となった獣屍の象。奏は奏楽の字であるから、形義とも関係のない字である。夲は獣屍の下体の象。用例もなく、部首ともしがたい字である。
[声系]
〔説文〕十一上に奏声として湊を収める。湊は「水上の、人の會するなり」という。奏に諸楽合奏の意がある。輳(そう)は〔説文〕未収の字。車馬の輻輳する所をいう。
[語系]
奏tzo、湊tsokは声義近く、湊は奏の声義を承ける。聚・dzio、叢dzong、族dzokもみな集まり合する意があり、同系の語と考えられる。
[熟語]
奏案▶・奏▶・奏可▶・奏賀▶・奏劾▶・奏凱▶・奏記▶・奏議▶・奏啓▶・奏▶・奏▶・奏工▶・奏功▶・奏稿▶・奏裁▶・奏参▶・奏事▶・奏捷▶・奏章▶・奏▶・奏上▶・奏審▶・奏請▶・奏牋▶・奏薦▶・奏▶・奏対▶・奏弾▶・奏刀▶・奏当▶・奏牘▶・奏稟▶・奏舞▶・奏聞▶・奏辟▶
[下接語]
案奏・劾奏・楽奏・合奏・間奏・議奏・協奏・競奏・金奏・奏・交奏・讒奏・執奏・重奏・序奏・章奏・上奏・条奏・進奏・吹奏・趨奏・節奏・奏・弾奏・庭奏・伝奏・独奏・内奏・納奏・繁奏・表奏・稟奏・誣奏・敷奏・賦奏・覆奏・聞奏・奉奏・密奏・面奏・連奏
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報