夷三郎(読み)えびすさぶろう

精選版 日本国語大辞典 「夷三郎」の意味・読み・例文・類語

えびす‐さぶろう ‥サブラウ【夷三郎・恵比須三郎】

(蛭子(ひるこのかみ)は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)伊邪那美命(いざなみのみこと)の第三子であるといわれるところから) 「えびす(恵比須)(一)」の異名
源平盛衰記(14C前)九「彼の岳(をか)には夷(エビス)三郎殿と申神を祝ひ奉り」
[補注]イザナギ・イザナミの第三子の蛭児(ひるこ)を三郎と称し、「蛭子」の字面を介して、また「えびす」と「ひるこ」ともに海に関わる神であることから、両神が混同されたものであろう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の夷三郎の言及

【えびす(夷∥恵比須)】より

… えびすの神像は,釣竿を持ち,脇に釣り上げた魚を抱えた姿であるが,このえびすの本社は,兵庫県西宮市の西宮神社(夷社)とされている。西宮の夷社は夷三郎とも呼ばれ,天照大神をまつる広田社の摂社であった。広田社には,複数の摂社が置かれていたが,夷社は大国主命もしくは蛭児(ひるこ)をまつり,三郎社は事代主命をまつるとされた。…

【大黒天】より

…室町時代には,《塵塚物語》の説くように夷(えびす)と大黒の二神併祀がみられた。これは西宮の〈夷三郎〉が本来大国主神と事代主(ことしろぬし)神の二神であったものが,夷三郎を1神(事代主神)としたところから,大黒天が加えられたものと考えられる。このころから大黒天を福神とすることも一般化してきたらしく,狂言《夷大黒》にも比叡山三面大黒天と西宮の夷三郎を勧請(かんじよう)してまつるようすが記されている。…

※「夷三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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