夷(漢字)

普及版 字通 「夷(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 6画

[字音]
[字訓] えびす・たいらか・きずつく

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
初文は尸(し)。人が腰をかがめて坐る形。〔説文〕十下に「らかなり。大に從ひ、弓に從ふ。東方の人なり」とするが、訓義と字形の関係が明らかでない。金文の字形は弓に従わず、尸に近い。夷人の坐りかたを示す。

[訓義]
1. えびす、東方の族、うずくまる。
2. のち字を夷に作る。夷は矢に(いぐるみ)を加えた形。夷居の意に用いて、たいらか、たやすい、大きい。
3. 痍に通じて、きず、きずつく。
4. 怡・に通じて、よろこぶ。
5. に通じ、のぞく。
6. 尸に通じ、つらねるの意となる。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕夷 エビス・ウズヰ・タヒラカナリ・タヒラグ・ヤスシ・ナラス・ヒトシ・コロス・ヤブル・ホロボス・ナヤマフ(ス)・アハク・ワキマフ・ツネニス

[声系]
尸sjiei、夷jieiは古声近く、夷は頭音sの脱落した形。夷声の字に・洟・・痍・銕があり、銕は鐵(鉄)thyetの異文で、夷にその声がある。

[語系]
尸・矢sjieiは同声で、矢はつらねる意。雉・thyeiは声近く、雉はつらねる、はなぐ、ころす。・痍jieiは夷と同声、はたいらか、痍は傷つくの意。〔儀礼、士喪礼〕の「夷衾」は尸を覆う衾、〔周礼天官、凌人〕の「夷槃の冰」は尸の盤に用いる冰をいう。

[熟語]
夷易夷懌・夷説・夷夏夷簡・夷居・夷険夷堅・夷言・夷荒夷寇夷曠夷考・夷傷・夷世・夷則・夷族・夷泰夷坦夷狄夷殄・夷道夷貊・夷槃夷靡夷泯夷昧夷滅・夷愉・夷由夷猶夷与夷戮・夷路
[下接語]
遐夷・外夷・希夷・九夷・曠夷・四夷・戎夷・焼夷・傷夷・攘夷・征夷・清夷・翦夷・創夷・島夷・夷・明夷・陵夷

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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