夫(漢字)

普及版 字通 「夫(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] フ・フウ
[字訓] おっと・おとこ・かの・それ・かな

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
大は人の正面形。その頭に髪飾りの(かんざし)を加えて、男子の正装の姿を示す。妻は女子が髪飾りを加えた形。夫妻は結婚のときの男女の正装を示す字形である。〔説文〕十下に「夫なり。大に從ふ。一は以て(しん)に象るなり」という。金文に人を数えるとき、〔鼎(こつてい)〕「厥(そ)の臣二十夫」「衆一夫」のようにいう。夫は労務に服するもの、その管理者を大夫という。夫人とは「夫(か)の人」、先生を「夫子(ふうし)(夫(か)の人)」というのと同じく、婉曲にいう語法である。「それ」は発語、「かな」は詠嘆助詞

[訓義]
1. おとこ、大人の人、つわもの。
2. おっと、良人。
3. 人夫、えだち、ぶやく。
4. その、この、かの、それ、これ、かれ、指事詞。
5. かな、句末の助詞。

[古辞書の訓]
和名抄〕夫 乎布度(をふと)、一に云ふ、乎度古(をとこ)〔名義抄〕夫 ソレ・カノ・カレ・ヲフト・ヲトコ・イヤシ・ツカフ・マスラヲ・ヒトヒト/夫 モシソレ/夫然 カクノゴトキ

[部首]
〔説文〕に規・の二字をこの部に属し、〔玉〕になお替を加える。規の従うところの夫の初形はで「ぶんまわし」の形。規は円、矩(く)は方をえがくものであるが、のち規を定規のように使う。(はん)を〔説文〕に「輦(れん)の字、此れに從ふ」とするが、輦の上部はくびきを並べた形で、車に馬をつけた形。また替はもとに作り、盟誓争訟に関する字で、夫とは関係がない。

[声系]
〔説文〕に夫声として・扶・など八字を収めるが、特に夫の声義を承けるとすべきものはない。

[語系]
夫piua、(父)biuaは声近く、おそらく同系の語。子の父たるものが、また夫である。傅piua、輔biuaと、語としての関係があろう。

[熟語]
夫子・夫婦・夫役・夫家・夫課・夫君・夫妻夫遂夫壻・夫党・夫布・夫力
[下接語]
一夫・役夫・駅夫・火夫・寡夫・介夫・褐夫姦夫頑夫・窮夫・馭夫・漁夫・狂夫・怯夫・轎夫・工夫・愚夫・軍夫・健夫・賢夫・功夫・坑夫・鉱夫・曠夫・宰夫・讒夫・士夫・車夫・樵夫・丈夫・情夫・嗇夫・水夫征夫・船夫・潜夫・前夫夫・膳夫・壮夫・懦夫・大夫・貪夫・丁夫・哲夫・田夫・独夫・人夫・農夫・万夫・鄙夫・匹夫・武夫・牧夫・僕夫・凡夫・野夫・勇夫・余夫・庸夫・懶夫・廉夫・輦夫・老夫

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android