太鼓谷稲成神社(読み)たいこだにいなりじんじや

日本歴史地名大系 「太鼓谷稲成神社」の解説

太鼓谷稲成神社
たいこだにいなりじんじや

[現在地名]津和野町後田

じよう山北東麓の一角、太鼓谷にある。旧郷社。祭神宇迦之御魂大神・伊弉冉尊。安永二年(一七七三)津和野藩主亀井矩貞が城山鎮護のため山城伏見稲荷勧請、稲成神社と称した。廃藩後、庶民崇敬が厚くなり、近年は津和野を訪れる観光客の観光コースにもなり賑わうようになり、現社名に改称した。社蔵の天球儀地球儀は文化五年(一八〇八)津和野藩の天文学者堀田仁助が製作したもので県指定文化財。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「太鼓谷稲成神社」の意味・わかりやすい解説

太鼓谷稲成神社
たいこだにいなりじんじゃ

島根県鹿足(かのあし)郡津和野町に鎮座。宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)を祀(まつ)る。津和野の三本松城城主で亀井家第8代の矩貞(のりさだ)が、城内鎮護と領内安穏、領民福祉を祈願して、1773年(安永2)5月15日津和野太鼓谷の峰に伏見稲荷(ふしみいなり)より勧請(かんじょう)したのが起源とされている。旧郷社。日本五大稲荷の一つとして信仰され、初午(はつうま)大祭(2月初午日)、春秋の大祭(5月15日、11月15日)には北九州、西中国地方より厄除(やくよけ)開運、産業発展を求めて多くの参詣(さんけい)者が集まる。境内の養老文庫には江戸後期の国学者岡熊臣(おかくまおみ)関係の文書が保存されている。また文化財として堀田仁助作の天球儀、地球儀がある。

[加藤隆久]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の太鼓谷稲成神社の言及

【津和野[町]】より

…津和野城(三本松城)跡(史),津和野出身の文豪森鷗外の旧居(史),啓蒙思想家西周(あまね)の旧居などがその代表である。町の中心付近には日本五大稲荷の一つ太鼓谷稲成(たいこだにいなり)神社があり,開運・産業の神として西日本各地の信仰を集めている。津和野駅北方の乙女峠にあるマリア聖堂は,1868年(明治1)から73年まで明治新政府によって配流・迫害された長崎浦上のキリシタンを記念して建てられたものである。…

※「太鼓谷稲成神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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