天童(読み)てんどう

精選版 日本国語大辞典 「天童」の意味・読み・例文・類語

てん‐どう【天童】

[1] 〘名〙
護法の鬼神や天人などが童子の姿となって人間界に現われたもの。
※大鏡(12C前)六「天童などのおりきたるとこそみえさせ給ひしか」
② 仏事や祭礼などのとき、天人に扮する童男・童女。ちご。おちご。
※東大寺続要録(1281‐1300頃)供養篇本「楽人并天童等自正面西辺壇下徘徊」
[2] 山形県東部の地名。南北朝時代、天童氏が支配。江戸時代は織田氏二万石の城下町。全国生産高の九割を占める将棋駒特産天童温泉がある。昭和三三年(一九五八市制

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デジタル大辞泉 「天童」の意味・読み・例文・類語

てん‐どう【天童】

仏教守護神や天人などが子供の姿になって人間界に現れたもの。
祭礼のときなどに、天人にふんする少年少女稚児ちご

てんどう【天童】[地名]

山形県中東部の市。もと織田氏の城下町。将棋の駒を特産。人口6.2万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「天童」の意味・わかりやすい解説

天童[市] (てんどう)

山形県中東部の市。1958年市制。人口6万2214(2010)。山形盆地の中央部東寄りに位置し,市域の東半は奥羽山脈山地,西半は乱(みだれ)川と立谷川の扇状地からなり,西端を最上川が北流する。扇状地の扇端部は古くは成生(なりう)荘として開かれた。南北朝時代に北畠天童丸が舞鶴山に居城したことが地名の由来という。城下町は当初,城の東側にあったが,近世に西側に整備された羽州街道に沿って街村状の宿場町が発達し,1830年(天保1)織田氏(2万石)が街村の西に館を構えた。中心街の東にある天童温泉(セッコウ泉,66~70℃)は1886年灌漑用の井戸掘削の際に湧出したもので,明治末期には温泉街が形成され,現在では県内有数の温泉地となっている。特産品の将棋駒は幕末天童藩の下級武士の手内職から発展したもので,全国の約95%を生産している。春の桜祭には人間将棋が行われ観光客の人気を集めている。乱川・立谷川両扇状地ではサクランボ,ブドウ,リンゴなどの果樹生産が盛ん。JR奥羽本線,山形新幹線,国道13号,48号線が通じ,東北中央自動車道のインターチェンジもあって南接する山形市のベッドタウン的性格が強くなっている。また家具や電気機器などの工場も進出している。市東部にある若松寺観音堂(重要文化財)は最上三十三観音1番札所。
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世界大百科事典(旧版)内の天童の言及

【天狗】より

…したがって疾走飛行自在であり,飛鉢法によって山上に食物や水をもたらすことができると信じられた。平安時代には天狗は天童や金剛童子と呼ばれていて,童子形で表現されたのはそのためである。それは豊後国東(くにさき)半島の屋山(ややま)長安寺の太郎天像(平安時代)や《信貴山縁起絵巻》に見られ,《古事談》は平安時代の山伏浄蔵の話として,唐装束の天童の飛鉢を語っている。…

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