天帝(読み)てんてい(英語表記)tiān dì

精選版 日本国語大辞典 「天帝」の意味・読み・例文・類語

てん‐てい【天帝】

[1] 〘名〙 天を主宰する神。造化の神。造物主上帝
※玉造小町子壮衰書(10C後)「富貴祈天帝、歓栄請地祇
浮世草子・好色万金丹(1694)一「北斗の天帝(テンテイ)より米六十三石と客八人と請け得て生れ」 〔戦国策‐楚策・威王
[2]
[一] 帝釈天(たいしゃくてん)のこと。てんたい
太平記(14C後)一〇「此帝尺宮の戦に修羅の眷属共天帝(テイ)の為に罰せられて」
[二] 旧約聖書の神エホバをさす。天主。上帝。
南蛮寺興廃記(1638頃)「南蛮切支丹国の者にして、天帝の宗門弘法のために渡来せり」

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デジタル大辞泉 「天帝」の意味・読み・例文・類語

てん‐てい【天帝】

古代中国の思想で、天地万物を支配する神。造物主。
キリスト教で、ヤーウェ
仏教で、帝釈天たいしゃくてん

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改訂新版 世界大百科事典 「天帝」の意味・わかりやすい解説

天帝 (てんてい)
tiān dì

中国における天上最高神。殷代の甲骨文資料に帝,あるいは上帝の語が見え,雨や農作物収穫を支配し,都邑の建設に許可を与えたりしている。しかしすでに〈隠れた神〉であったらしく,帝の力は〈帝の使(者)〉や〈帝の臣〉を介して発現される。上帝を直接に祭ることはなかったとされる。殷代の帝には人格神としての性格は弱かったのであろう。周は帝の代りに天の語を用いた。周王朝の存在を理由づけるため,天命天子革命などの観念を天帝と関連づけて発展させ,それに倫理観念を注入し強調したことが,後代の中国思想の重要な基盤となった。天帝を祭ることが天子の権利であり義務だとする考えが,封建王朝時代を通じて強固に保持されていたことは,北京の天壇にも見られるごとくである。天帝は元来は唯一神であったであろうが,その力を代行する職能神が実際的な力をふるったことや,春秋戦国時代には各国がそれぞれに天帝を祭ろうとしたことから,帝は必ずしも唯一のものではなくなる。漢代になると秦の畤(し)の祭祀を引きついで帝は五帝(五方の帝--青帝,赤帝,黄帝,白帝,黒帝)に整理されており,五帝の上に昊天上帝(こうてんじようてい),太一(たいいつ),天皇上帝(てんこうじようてい)などと呼ばれる最高神が位置する天上のヒエラルヒーが完成する。
皇帝 →
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旺文社世界史事典 三訂版 「天帝」の解説

天帝
てんてい

古代中国で想定された,天上に住む最高神,上帝ともいう
殷代の甲骨文字史料に上帝の語が見られる。周代には天命・革命などの観念と関連づけられ,中国思想の基盤ともなった。また,天帝を祭ることが天子の権利であり義務であるという考え方は,歴代の王朝で保持された。

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普及版 字通 「天帝」の読み・字形・画数・意味

【天帝】てんてい

上帝。

字通「天」の項目を見る

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