天下三戒壇(読み)てんかさんかいだん

世界大百科事典(旧版)内の天下三戒壇の言及

【戒壇】より

戒律を授受する式場をいう。戒律の授受には,もと清らかな場所を選び,結界をして行ったが,のち土,石,磚(かわら)などを用いて三重の壇を築き式場とした。インドの祇園精舎,ナーランダー寺の戒壇の制が中国に伝えられたともいうが,明らかでない。中国では唐代に南山律宗の大成者道宣が,長安郊外の浄業寺で戒壇を設立したが,その際に《関中創立戒壇図経》を著して,戒壇の形式を明らかにした。その形状は三重の壇になり,下壇は方29.8尺で高さ9尺,中壇は方23尺で高さ4.5尺,上壇は方7尺で高さ2寸,上壇には仏舎利を納めた宝塔を安置すると規制している。…

【下野薬師寺跡】より

…栃木県河内郡南河内町薬師寺に7世紀後半に創建された寺院の跡。下野薬師寺は761年(天平宝字5)に戒壇が開基され,東大寺および筑前観世音寺の戒壇と合わせて,天下三戒壇と称されたこと,770年(宝亀1)に道鏡が造下野国薬師寺別当として配流され,772年この地で没したことで,とくに知られている。1965‐71年に行われた発掘調査によって寺域西寄りで,南北中軸線上に南門,中門,金堂,講堂が並び,中門と講堂をつなぐ回廊のなかに,金堂とその背後西寄りに戒壇堂と称する建物跡のある状況が判明した。…

【律宗】より

…【礪波 護】
[日本]
 日本では律宗は八宗および南都六宗の一つで,12年の歳月と6回の渡航によって754年(天平勝宝6)に来日した伝戒師鑑真の一行によって伝えられた。そして755年9月に東大寺に戒壇院,761年(天平宝字5)1月に下野薬師寺,筑紫観世音寺に戒壇院が創建されて〈天下三戒壇〉の制が設けられ,官僧受戒の場とした。一方,鑑真は唐招提寺を創立して僧尼の規範である律宗の指導流布につとめ,政府はまた諸大寺に戒師団を施入して戒律の研究,普及などをはかった。…

※「天下三戒壇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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