大領(読み)たいりょう

精選版 日本国語大辞典 「大領」の意味・読み・例文・類語

たい‐りょう ‥リャウ【大領】

〘名〙 (「だいりょう」とも)
令制で、郡司長官在地の有力豪族を任用する。おおきみやつこ。こおりのみやつこ。郡司(ぐんじ)。〔令義解(718)〕
今昔(1120頃か)二〇「武蔵の国、多麿の郡大領として、大伴の赤麿と云者有けり」
大国領主
※浄瑠璃・三日太平記(1767)松下住家「今天が下を掌握し、四海に羽打つ大領なれど、いまだ主従の縁切れねば、我為にはいつ迄も草履取の此下兵吉」

おお‐みやつこ おほ‥【大領】

〘名〙 律令制の郡司(ぐんじ)の長官。少領主政主帳を指揮する。大郡上郡中郡設置。おおのみやつこ。こおりのみやつこ。こおのみやつこ。→郡司
書紀(720)天武元年七月(北野本訓)「高市郡の大領(ヲホミヤツコ)高市県主(あがたぬし)許梅、儵忽(にはか)に口閉(くちつく)びて言(ものい)ふこと能はず」

おおい‐みやつこ おほい‥【大領】

〘名〙 令制での各等級の郡の長官。こおりのみやつこ。おおきみやつこ。たいりょう。

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デジタル大辞泉 「大領」の意味・読み・例文・類語

おお‐くび〔おほ‐〕【大領/×衽】

ほう直衣のうし狩衣かりぎぬなどの前襟おくび

たい‐りょう〔‐リヤウ〕【大領】

《「だいりょう」とも》
律令制で、郡司の長官。こおりのみやつこ。おおきみやつこ。
大国の領主。
「天が下を掌握し、四海に羽打つ―なれど」〈浄・三日太平記〉

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大領」の解説

大領
だいりょう

律令制下の郡司の長官。大・上・中・下郡に各1人。3里以下からなる小郡には大・少領の区別なく郡領のみがおかれた。選叙令に「性識清廉にして,時務に堪える者」をとり,複数の候補者があって才用が同じならば先に国造(くにのみやつこ)をとれと規定され,大領となった者には外従八位上の位を与えるとある。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大領の言及

【郡司】より

…律令国家の地方行政組織の基礎単位である郡の官人の総称。広義には長官・次官の大領(たいりよう)・少領(しようりよう)と書記にあたる主政(しゆせい)・主帳(しゆちよう)の四等官(正員)を意味する。狭義には大領・少領のみをいい,この場合は郡領(こおりのみやつこ)といった。…

※「大領」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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