大行天皇(読み)タイコウテンノウ

デジタル大辞泉 「大行天皇」の意味・読み・例文・類語

たいこう‐てんのう〔タイカウテンワウ〕【大行天皇】

天皇死後、まだ諡号しごうを贈られていない間の尊称先帝意味にも用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「大行天皇」の意味・読み・例文・類語

たいこう‐てんのう タイカウテンワウ【大行天皇】

〘名〙 天皇が崩御したのち、まだ諡(おくりな)を奉らない間の尊称。転じて、前の天皇。太上天皇。さきのすめらみこと。大行皇帝。大行。たいぎょうてんのう。
正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳「右日並皇子常所持、賜太政太臣、大行天皇即位之時、便献大行天皇

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大行天皇」の意味・わかりやすい解説

大行天皇
たいこうてんのう

天皇の没後、まだ諡号(しごう)が贈られない間の呼称。『日本書紀』持統3年(689)5月甲戌条に天武天皇を「大行天皇」と記すのが初見。先帝の意味にも用いる。したがって文脈によってどの天皇を指すかはまちまちであり、奈良時代にはその崩御から時間がたってからも文武天皇(もんむてんのう)を「大行天皇」と記す例がある(『伊福部徳足比売墓誌(いふきべのとこたりひめぼし)』、『東大寺献物帳』、『万葉集』巻1、『令集解(りょうのしゅうげ)』(公式令)所引『古記』など)。

[森 公章]

『『古事類苑 帝王部』(復刻版、1996・吉川弘文館)』

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世界大百科事典(旧版)内の大行天皇の言及

【皇室服喪令】より

…同令は総則,大喪,宮中喪,喪期区分の4章33条より成る。すなわち天皇が大行天皇(没後追号以前の尊称),太皇太后,皇太后,皇后の喪に当たるのを大喪(たいそう)といい,とくに大行天皇,皇太后および生母たる太皇太后の大喪を諒闇(りようあん)(期間1年)とし,大喪以外の天皇の服喪を宮中喪とする。大喪には全国民が喪に服し,宮中喪には皇族および宮内官吏が服喪する。…

【大喪】より

…第2次大戦後,皇室典範等の改廃が行われたが,51年の貞明皇后の葬儀は大喪儀と称し,旧皇室喪儀令の規定に準拠して行われた。なお1909年制定の皇室服喪令によると,天皇以下皇族の服喪の期間を規定し,天皇が大行天皇(没後,追号制定以前の称),太皇太后,皇太后,皇后の喪に服することを大喪(たいも)といった。【米田 雄介】。…

※「大行天皇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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