大船(読み)おおぶね

精選版 日本国語大辞典 「大船」の意味・読み・例文・類語

おお‐ぶね おほ‥【大船】

〘名〙
① 大きな船。たいせん。⇔小船(こぶね)
万葉(8C後)一六・三八六九「大船に小船引き副(そ)へ潜(かづ)くとも志賀荒雄(あらを)に潜きあはめやも」
仏教で、生死海(しょうじかい)を渡すもの。また、一般に頼りになるもののたとえにいう。→大船に乗る
※雑俳・神風(1742)「象よりも先づ大舟を繋ぐ也」
③ 舟の形に切った西瓜(すいか)
浮世草子・当世宗匠気質(1781)一「施行(せぎゃう)西瓜の大船(オオフネ)一艘(さう)づつ与へ給ふときもあり」

たい‐せん【大船】

〘名〙 中・小船に対する大きな船の呼称。その大きさは相対的なもので、時代によって違いがあり、百石積上代では大船だが、近世では小船となるように、明確な規定はない。江戸時代では一般に廻船で五百石積以上、軍船で六十挺立以上をいう。おおぶね。
参天台五台山記(1072‐73)五「次渡黄河浮橋。先五町許浮大船廿一隻橋」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「世わたる大船(セン)をつくりて、其名を神通丸とて」 〔史記‐張儀伝〕

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デジタル大辞泉 「大船」の意味・読み・例文・類語

たい‐せん【大船】

大きな船。おおぶね。江戸時代では一般に、回船で500石積以上、軍船で60挺だて以上の和船をいう。

おお‐ぶね〔おほ‐〕【大船】

《「おおふね」とも》大きな船。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大船」の意味・わかりやすい解説

大船
おおふな

神奈川県鎌倉市(かまくらし)北部の一地区。旧大船町。東海道本線横須賀(よこすか)線、根岸(ねぎし)線、湘南モノレール(しょうなんものれーる)が通じ、それらが集中するJR大船駅付近が中心。古くは粟船(あわふね)、青船とよばれた。一帯は柏尾(かしお)川下流の三角州平野が広がり、もともと米作地域であったが、1888年(明治21)に東海道本線の大船駅ができ、1889年横須賀線がここより分岐して周辺近代化のきっかけをなした。1936年(昭和11)東京蒲田(かまた)から松竹撮影所が移転(2000年6月に閉鎖)、第二次世界大戦中には駅付近に東京から国鉄(現、JR)、電気機械、化学などの大型工場が相次いで進出した。大船駅西側の大船観音(かんのん)は1960年(昭和35)完成された上半身像で、付近はサクラの名所。県立フラワーセンター大船植物園は年中花の絶えることがなく、ピクニックグランド、モデル庭園、観賞温室などがある。清泉女学院内の玉縄(たまなわ)城跡は中世城郭の典型。

[浅香幸雄]


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百科事典マイペディア 「大船」の意味・わかりやすい解説

大船【おおふな】

神奈川県鎌倉市の一地区。1887年東海道本線が開通,1889年横須賀線を分岐,以来駅前集落として発達。ハム工場をはじめ,近年駅付近を中心に多くの工場が進出,鎌倉市の工業中心地となった。野菜・花卉(かき)栽培が盛ん。県立フラワーセンターや大船観音,JR大船工場があり,江の島へモノレール(1971年建設)が通じる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大船」の意味・わかりやすい解説

大船
おおふな

神奈川県南東部,鎌倉市北部の地区。 JR東海道本線が通り,横須賀線,根岸線が集る交通の要地。湘南江の島にいたる湘南モノレールの起点でもある。第2次世界大戦中から電機,機械,化学などの工場が立地。 1970年代には横浜市南部の急速な宅地開発に伴い商業地区としても発展。付近には大船観音,竜宝寺,常楽寺,県立フラワーセンターがある。

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