大義親を滅す(読み)たいぎしんをめっす

精選版 日本国語大辞典 「大義親を滅す」の意味・読み・例文・類語

たいぎ【大義】 親(しん・おや)を滅(めっ・ほろぼ)

国家君主大事のためには、人として最も深いつながりの親・兄弟などの肉親さえもかえりみない。大義には自分の肉親をも捨てる。大義滅親。
神皇正統記(1339‐43)下「大義(たいぎニ)(しんヲめっすと)云ことあるは、石と云人其子をころしたりしがこと也」 〔春秋左伝‐隠公四年〕

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デジタル大辞泉 「大義親を滅す」の意味・読み・例文・類語

大義たいぎしんめっ

《「春秋左伝」隠公四年から》君主や国家の大事のためには、肉親の情をも顧みない。大義のためには親兄弟をも犠牲にする。

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故事成語を知る辞典 「大義親を滅す」の解説

大義親を滅す

国家や君主への忠義を守るために、肉親さえも犠牲にすること。

[使用例] 大義親を滅すということがある。母親をとるか、同志を取るか、答えは明瞭である[高見順故旧忘れ得べき|1935~36]

[由来] 「春秋左氏伝―隠公四年」に出て来る話から。紀元前八世紀、春秋時代中国でのこと。えいという国で、しゅうという貴族が君主を殺し、自ら君主の位に就いたことがありました。しかし、国民はそのことをなかなか認めようとしません。そこで、州吁は、外国の力を借りて新しい君主として認めてもらおうと考え、陳という国へと出かけます。ところが、州吁に同行した部下の父が、先回りして陳の君主に使いを送り、州吁と我が子を反逆者として処刑させてしまったのでした。この事件について、良識のある人は、「大義親を滅ぼす(国家や君主への忠義のために、肉親を犠牲にする)」とはこのことだろう、と評価したということです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大義親を滅す」の意味・わかりやすい解説

大義親を滅す
たいぎしんをめっす

主君や国に重大事があった場合には、人としてもっともつながりの深い親子の情すら顧みないとの意で、大事のためには個人的な私情を挟まず、人情義理を犠牲にして、自分の肉親さえも捨てなければならないとのたとえ。中国、春秋時代の衛の国の大夫で、純臣の石(せきさく)が、謀反を企てた逆臣吁(う)にくみしたわが子の厚を殺害させた、と伝える『春秋左氏伝』「隠公四年」の故事による。

[田所義行]

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ことわざを知る辞典 「大義親を滅す」の解説

大義親を滅す

大義を守るためには、肉親をもかえりみない。重大な道義のためには自分の肉親をも捨てる。

[使用例] 大義親を滅すということがある。母親をとるか、同志を取るか、答えは明瞭である[高見順*故旧忘れ得べき|1935~36]

[解説] 「春秋左伝―隠公四年」にあることば。「大義」は、主として国家や君主への忠誠をさします。

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