大社造(読み)たいしゃづくり

精選版 日本国語大辞典 「大社造」の意味・読み・例文・類語

たいしゃ‐づくり【大社造】

〘名〙 神社本殿形式一つ。切妻造り。妻入り桁行二間、梁行二間。入り口一方に寄せて設けられる。内部中心柱があり、その奥に横向き神座がある。屋根檜皮葺(ひわだぶ)きで、千木(ちぎ)鰹木がのる。出雲大社本殿はその典型。おおやしろづくり。
暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉四「遠く石段の上に大社造(タイシャヅクリ)の新しい社が見える」

おおやしろ‐づくり おほやしろ‥【大社造】

〘名〙 神社本殿形式の一つ。出雲大社本殿を基本とする。切妻造り。妻入り。出入口階段中央にはなく片よってある。たいしゃづくり。

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デジタル大辞泉 「大社造」の意味・読み・例文・類語

たいしゃ‐づくり【大社造(り)】

神社本殿形式の一。日本古代の建築様式を残すもので、屋根は檜皮葺ひわだぶで、切妻造り妻入り。代表例は出雲大社本殿。おおやしろづくり。

おおやしろ‐づくり〔おほやしろ‐〕【大社造(り)】

たいしゃづくり(大社造)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大社造」の意味・わかりやすい解説

大社造
たいしゃづくり

神社本殿形式の一つ。切妻(きりづま)造、妻入(つまいり)の本殿で、平面は柱間が正面二間、側面二間になる。神明(しんめい)造や住吉(すみよし)造とともに古い神社本殿形式で、遺構島根県内に限られる。出雲(いずも)大社本殿(江戸時代、1744年造営。国宝)が代表的なものであるが、神魂(かもす)神社本殿(桃山時代、1583年造営。国宝)のほうが古式を伝える。出雲大社本殿は現在礎石上端から千木(ちぎ)までの高さが八丈(約24メートル)であるが、古代32丈(96メートル)、中世16丈(48メートル)の伝承があり、巨大な本殿であった。平面は方形で、中央に心柱が立ち、後ろの一間が神座になる。出雲大社と神魂神社では神座の位置が左右逆になる。心柱に対して正面および背面中央の柱は宇頭柱(うずばしら)といい、本来は妻の外側に独立して立った棟持柱(むなもちばしら)の名残(なごり)という。正面入口は向かって右側につくが、佐太(さだ)神社本殿のように左側のものもある。また、美保(みほ)神社本殿は比翼大社造となる。

[工藤圭章]


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百科事典マイペディア 「大社造」の意味・わかりやすい解説

大社造【たいしゃづくり】

出雲大社本殿で代表される神社建築の一様式で,神明造とともに本殿形式の最古のもの。桁行(けたゆき)2間,梁間(はりま)2間,切妻造,妻入りで,妻の中央に柱があるので,入口は向かって右側に寄せて設けられ,本殿前に向拝をつける。遺構として島根県の神魂(かもす)神社本殿(1346年)がある。
→関連項目大鳥造堅魚木

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大社造」の意味・わかりやすい解説

大社造
たいしゃづくり

出雲大社本殿に代表される神社本殿の形式。切妻造妻入りで,入口は正面の右側にかたよって配置される。神社建築中最古の形式で,古代宮殿の形式を伝えるものと考えられる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大社造」の解説

大社造
たいしゃづくり

神社建築最古の様式
出雲大社本殿に代表される。高床式,方2間(約3.6m)の切妻造・妻入りで,入口が向かって右側にあり中央には心柱がある。これを中心に内部を前後2室に分け,四つ目間取りで古代住居建築の様式を示す。大社造最古のものは島根県神魂 (かもす) 神社である。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大社造」の解説

大社造
たいしゃづくり

神社建築(じんじゃけんちく)

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世界大百科事典(旧版)内の大社造の言及

【出雲大社】より

…しかし,この間にも出雲信仰はひろく全国に及んでいった。近世には,社殿の造営は1609年(慶長14)に豊臣秀頼により,67年(寛文7)には将軍徳川家綱によって行われたが,現在の社殿はその次の1744年(延享1)の造営によるもので,いわゆる大社造の代表的な様式を示しており,国宝に指定されている。出雲信仰出雲神話出雲国造【門脇 禎二】
[建築]
 本殿は,切妻造妻入りで,南面する。…

【神社建築】より

…この伊勢神宮の7,8世紀における発展が他の神社の制度や運営に大きな影響を与えたのであって,いくつかの本殿形式の成立もまた,神宮正殿の影響を考えずには理解できないのである。式年造替
【神社本殿の諸形式】
 先に掲げた分類表が示すように,流造,春日造を除く本殿形式として大社造,住吉造,八幡造,日吉造などがあるが,これらの数はきわめて少ない。これらの形式はある特定の神社に固有の形式であって,同じ祭神が他の場所に勧請されたときにその本殿形式が再現される場合を除くと,一般に形式の伝播という現象はなかったと考えてよいであろう。…

※「大社造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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