大気差(読み)タイキサ(英語表記)astronomical refraction

デジタル大辞泉 「大気差」の意味・読み・例文・類語

たいき‐さ【大気差】

地表で見る天体の見かけの方向と、その真の方向との差。光が大気中で屈折するために生じる。天体大気差気差

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精選版 日本国語大辞典 「大気差」の意味・読み・例文・類語

たいき‐さ【大気差】

〘名〙 大気屈折により生じる、天体の見かけの方向と本来の方向との間の差。濛気差(もうきさ)

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改訂新版 世界大百科事典 「大気差」の意味・わかりやすい解説

大気差 (たいきさ)
astronomical refraction

天文屈折ともいう。地球をとりまく大気のため天体からの光が屈折し,真の位置と見かけの位置がずれて見える現象をいう。天頂にある天体は地球の大気に対して垂直に光がくるのでその差はないが,天体が地平線に近づくにつれて,その光が大気を通る間が長くなるため屈折が大きくなり天体が浮き上がって見える(図)。その量は大気の密度や光の波長によって少し変化するが,天頂距離をzとするとtanzにほぼ比例する。地平線上では34′になり,大気差のない場合と比較して,天体の出現では早くから見え,没するときはおそくまで見えていて,日本内地では日の出は2分ほど早く,日の入りは2分ほどおそくなる。また日の出や日の入りのときの太陽は真円ではなく上下につぶれた形に見えるのも,太陽の上端と下端で大気差の量が違うためである。天文分野では,大気差の補正のため大気差表が作られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大気差」の意味・わかりやすい解説

大気差
たいきさ
atmospheric refraction

天体観測において,直接観測される天体の位置は地球大気の屈折によって真の位置よりもわずかに高度が高くなっている。この差の角度を大気差という。大気差は天頂において0,高度が低くなるほど大きくなり,地平線において最大の約 34.4′に達する。また,気温気圧により影響されるが,高度 15°以上の範囲では次の経験公式によって数秒まで正確に表わされる。すなわち,気温 t ℃,気圧 p cm水銀柱とすれば,高度角 h における大気差 (秒) は {215p/(273+t)} cot h となる。他の気象条件によっても影響されるが,その量はきわめて小さい

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百科事典マイペディア 「大気差」の意味・わかりやすい解説

大気差【たいきさ】

気差とも。地球の大気が上空ほど希薄なため,天体からくる光線は大気内で地面に近づく方向に連続的に屈折する。このため天体の見かけの高度(観測者に入射した光線を逆向きに延長した方向)は真の高度より高くなる。この両者の差を大気差という。光線が天頂から入射するときは大気差は0だが,水平に入射するときは最も大きく平均34′に達する。

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