大正池(読み)たいしょういけ

精選版 日本国語大辞典 「大正池」の意味・読み・例文・類語

たいしょう‐いけ タイシャウ‥【大正池】

長野県中西部の上高地にある湖。大正四年(一九一五焼岳の大噴火により流れ出した溶岩が梓川をせき止めてできたもの。土砂流入によって年々小さくなっている。

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デジタル大辞泉 「大正池」の意味・読み・例文・類語

たいしょう‐いけ〔タイシヤウ‐〕【大正池】

長野県中西部、上高地にある湖。大正4年(1915)の焼岳やけだけ噴火による溶岩があずさをせき止めてできたもので、土砂の流入により当初より規模が小さくなっている。

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改訂新版 世界大百科事典 「大正池」の意味・わかりやすい解説

大正池 (たいしょういけ)

長野県西部,松本市の旧安曇(あずみ)村,梓川上流部の上高地にある湖。1915年(大正4)6月焼岳が大爆発して,大量の泥流押し出し,梓川をせき止めて形成されたのが南北1540m,東西257m,面積40haの当時の大正池である。立枯れの木々が水につかり,水面には焼岳や穂高連峰が投影して美しい景観をつくっている。しかし半世紀以上を経た池は,上流からの土砂や,焼岳の噴火による泥流(とくに1962年)などによって埋まり,年々狭くなっている。1984年現在,池の面積は半減し,最大深度は3.4mにすぎない。建設省では焼岳山腹に砂防堰堤をつくったり,堆砂を運んだりして,池の景観保存に努めている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大正池」の意味・わかりやすい解説

大正池
たいしょういけ

長野県中西部、北アルプスの上高地(かみこうち)にある堰止湖(せきとめこ)。1915年(大正4)上高地南西部の焼岳(やけだけ)が大噴火し、溶岩流が梓川(あずさがわ)をせき止めてできたもの。当初は南北1540メートル、東西約250メートル、最深部は6メートルであった。穂高(ほたか)岳を背景に梓川河畔の樹木枯れ木となって湖中に林立する景観は、第一級の自然美をなしていたが、焼岳の泥流や周囲の山々からの土砂が流れ込み、現在では当初の約3分の1になり、池というより梓川の河幅の広い部分といったほうが妥当である。水力発電所の調整池の役割りも果たしているが、このままでは消滅する危機にあり、関係機関が対策の検討を始めた。

[小林寛義]


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百科事典マイペディア 「大正池」の意味・わかりやすい解説

大正池【たいしょういけ】

長野県南安曇(みなみあずみ)郡安曇村(現・松本市),上高地にある池。標高1490m,面積0.15km2,最深3.4m。1915年6月,焼岳の噴火の際の泥流が梓(あずさ)川の河道をせき止めてでき,池中には立枯れの樹木が林立する。池面は焼岳の噴火,梓川の堆積で縮小している。排水口付近に発電所がある。
→関連項目焼岳

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大正池」の意味・わかりやすい解説

大正池
たいしょういけ

長野県西部,飛騨山脈中の上高地にある湖。面積 0.15km2最大水深約 2.5m。湖面標高 1460m。 1915 (大正4) 年焼岳の噴火により泥流が梓川をせきとめて出現。爆発当時の名残りをとどめて,池の中に枯木が散在している。土砂の堆積により面積は減少し,当初の2分の1となった。上高地を代表する景勝地の1つで,観光客が多い。中部山岳国立公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「大正池」の解説

大正池〔京都府〕

京都府綴喜郡井手町、玉川の源流部に位置する溜池。大正時代に築造された旧・大正池と二ノ谷池が1953年の南山城水害により決壊し、その後二ノ谷池の跡地に再建されたのが現在の大正池。貯水量は22万トンで京都府最大規模。シカ、イノシシなどの動物、ゲンジボタルモリアオガエルといった水辺の生物が多数生息する。京都府の「文化的景観」、農水省の「ため池百選」に選定されている。

大正池〔北海道〕

北海道岩見沢市、石狩川水系南利別川に建設された灌漑用の溜池。堤高15.9メートル。湛水面積8ヘクタール。1912年、国が利根別林を民間に開放しようとした際に反対運動の中心となった沢昇平という人物が計画し、地元の協力を得て建設したもの。1917年竣工。周辺は自然公園として整備されている。

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事典 日本の地域遺産 「大正池」の解説

大正池

(長野県松本市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の大正池の言及

【焼岳】より

…鐘状の成層火山で,1585年(天正13)の大爆発以来,数十回の爆発の記録がある。1915年6月の活動では泥流が東麓に流下して梓川をせき止め,大正池をつくった。北側にも中尾泥流など多くの泥流があり,山体周辺にはなだらかな泥流堆積面が残されている。…

※「大正池」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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