大村藩主大村家墓所(読み)おおむらはんしゅおおむらけぼしょ

国指定史跡ガイド 「大村藩主大村家墓所」の解説

おおむらはんしゅおおむらけぼしょ【大村藩主大村家墓所】


長崎県大村市古町にある墓所。墓所は大村湾に流入する大上戸(だいじょうご)川右岸、江戸時代の玖島(くしま)城下町北方の長崎街道沿いにある本経寺に所在する。大村氏は戦国時代後半に肥前国大村平野を拠点に勢力を拡大した豪族で、当主純忠(すみただ)は戦国大名として成長し、南蛮貿易を進め、天正遣欧少年使節に関わった日本最初のキリシタン大名。墓所は本堂の西南側に展開しており、初代藩主喜前(よしあき)から幕末の11代純顕(すみあき)にいたる歴代藩主の墓塔をはじめ、藩主の正室側室、子女らの墓塔、大村藩家老を務めた松浦家の墓も置かれている。初代・2代藩主の墓は墓域東北部に東南向きに建てられ、3代から6代藩主の墓は初代・2代に対面し、中央部に広場空間を有していたが、19世紀後半にいたって墓所が狭隘になると、広場空間に9代以降の藩主の墓を設けるようになった。墓所の特徴は、笠塔婆・五輪塔・石霊屋(いしたまや)など、多様な様式の墓塔や巨大な墓塔が多いことであり、わが国近世の墓制を知るうえで貴重な遺跡であることから、2004年(平成16)に国の史跡に指定された。JR大村線諏訪駅から車で約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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