大札(読み)おおふだ

精選版 日本国語大辞典 「大札」の意味・読み・例文・類語

おお‐ふだ おほ‥【大札】

〘名〙
① 大きい札。
古事談(1212‐15頃)四「捕家主、大札を先に持之将出けり」
② 大きい高札、制札
太平記(14C後)一六「速(すみやかに)之を誅せらる可き由を大札に書て、道の辻々にぞ立てられける」
江戸時代劇場で用いられた大人の入場券。⇔小札
④ 江戸時代の劇場で、興行会計出納のすべてをつかさどる責任者の称。大勘定(おおかんじょう)
※桜の実の熟する時(1914‐18)〈島崎藤村〉二「仕切場だとか大札だとか芝居茶屋女将(おかみ)だとか左様いふ座付の連中

たい‐さつ【大札】

〘名〙 明治元年一八六八)五月から発行された太政官札という政府紙幣うち一両以上の高額紙幣をいう。太政官札には額面十両、五両、一両、一分、一朱の五種があり、一両未満の小額のものは小札といった。この呼び方は、同四年以後「円」または「銭」を単位とする紙幣が発行されるに至ってあまり使われなくなった。
※行政官布告第四一三‐明治二年(1869)五月二日「大札を以小札に換え、或は、小札を以大札に換え通用致候儀は可為勝手事」

おお‐さつ おほ‥【大札】

〘名〙 明治時代に、額面一円以上の紙幣をいう。
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「かけがへのねへ大楮幣(オホサツ)をとうとう一枚こすらせられたぜ」

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デジタル大辞泉 「大札」の意味・読み・例文・類語

おお‐ふだ〔おほ‐〕【大札】

大きな札。また、大きな制札せいさつ
歌舞伎劇場などで、大人用の入場券。→小札こふだ
劇場で、興行の会計を担当する者。

おお‐さつ〔おほ‐〕【大札】

明治時代に、1円以上の高額の紙幣をいった語。
「かけがえのねえ―を」〈魯文安愚楽鍋

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普及版 字通 「大札」の読み・字形・画数・意味

【大札】たいさつ

大疫。

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