大日本協会(読み)だいにほんきょうかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大日本協会」の意味・わかりやすい解説

大日本協会
だいにほんきょうかい

1893年 10月1日設立された政治団体。神鞭知常安部井磐根大井憲太郎,坂本則美,大竹貫一らがかねてより組織していた内地雑居研究会を改変したもの。条約改正 (→不平等条約改正 ) にあたり,第2次伊藤博文内閣外交政策 (外相陸奥宗光) に反対,内地雑居 (→内地雑居問題 ) を時期尚早とし,現行条約励行主張,第5議会には条約励行建議案を提出するなど,対外硬派中心的存在として活躍した。 10日間の停会ののち,情勢不利とみた伊藤内閣は 12月 30日議会を解散すると同時に,治安妨害を理由に圧迫を加え,大日本協会は解散させられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本協会」の意味・わかりやすい解説

大日本協会
だいにほんきょうかい

1893年(明治26)10月1日に発足した対外硬(たいがいこう)運動組織。外国人への内地開放、内地雑居に反対する内地雑居講究会派が、全国的な政治運動展開のために組織したものである。領事裁判制廃止のためには当然居留地を廃止し、内地開放を行わなければならないという主張を批判し、内地開放を行うか否かの決定権は条約締結国にあると主張した。12月29日解散を命じられた。

[酒田正敏]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大日本協会」の解説

大日本協会
だいにほんきょうかい

日清戦争直前の対外硬派政治団体。「真正なる対等条約の締結,内地雑居尚早」を標榜。1893年(明治26)10月1日発会。東洋自由党国民協会政務調査会・同盟倶楽部の所属代議士らが中心。第5議会では立憲改進党・同志倶楽部とともに対外硬派6派連合を形成し,条約改正交渉を進める政府を追及した。同年12月29日政府は解散命令を出した。

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世界大百科事典(旧版)内の大日本協会の言及

【大井憲太郎】より

…アジア変革の指導者として東洋経営の国是を定めようとする国権論を掲げるとともに,労働者,細民の運動を促進した。やがて外人の内地雑居に反対する大日本協会に参加し,対外硬派の運動を担った。99年大日本労働協会,小作条例期成同盟会を組織,翌年普通選挙同盟会の評議員となり再び労働者,細民の運動を展開した。…

【神鞭知常】より

…退官後小名木川綿布会社の社長に就任し,また90年の第1回総選挙に京都府から当選した(以後当選7回)。92年伊藤博文内閣の条約改正交渉に反対して内地雑居講究会を結成し,翌年同趣旨の団体と連合して大日本協会の結成に尽力した。第2次松方正義内閣,第1次大隈重信内閣の法制局長官となる。…

【国粋主義】より

…日清戦争とともに国体論が社会に定着するだけでなく,軍事的膨張主義が民党にも浸透するようになると,三宅雪嶺らは西洋帝国主義の模倣としてこれに抵抗し,立憲的な側面をむしろ前面に押し出してくる。他方,この時期に〈日本主義〉を主張して大日本協会を結成した高山樗牛,木村鷹太郎らは,国体論を核心に据えると同時に,ドイツ流の国家主義を肯定しつつ,いっさいの自由主義的・民主主義的要素を排除しようとした。しかし皮肉なことにも,国体論の社会的定着という事実のために,それは一つの運動としては振るわなかった。…

【東洋自由党】より

…機関誌として週刊《新東洋》を発行して通信と伝道に努めた。やがて条約改正問題がおこると93年10月,安部井磐根(いわね),神鞭(こうむち)知常,佐々友房らと大日本協会を組織し,内地雑居反対,現行条約励行論を唱え,対外硬派の一翼として政府とあらそった。同年12月党は大日本協会に吸収される形で解党,大井らは大日本協会派として活動をつづけた。…

【内地雑居】より

…しかし,明治20年代初頭の国粋主義的気運のなかで,内地雑居により日本経済が外国人に掌握され,土地も占有され,固有の風俗や宗教まで混乱するという反対論が台頭した。1892年内地雑居講究会が組織され,陸奥宗光外相の条約改正交渉が進すると,同会が発展して93年10月設立された大日本協会は,真正な対等条約の締結,内地雑居尚早を主張し,現行条約励行を政府に迫った。この反対論緩和のため陸奥外相は,居留地においても土地の賃貸権と家屋の所有権のみを許すことにした。…

※「大日本協会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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