大層(読み)たいそう

精選版 日本国語大辞典 「大層」の意味・読み・例文・類語

たい‐そう【大層・大相サウ・大造サウ

[1] 〘形動〙
① 立派であるさま。大がかりであるさま。
※コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)四「ソノ ゴサギョウヲ キイテ ヲドロキ taisǒnaru(タイサウナル) ダウ テラヲ メグッテ」
暁月夜(1893)〈樋口一葉〉二「大層(タイソウ)学者にて何ごとも知らぬ事なく」
程度が普通以上にはなはだしいさま。おおげさであるさま。ぎょうさんであるさま。実態に合わない、必要以上だの気持でいう。
乾坤弁説(1656)利「水中の木石を見るに、其中間に水あるが故に、直に見るよりも其の木石大に見へ、波の立つ程猶大相に見るが如し」
※談義本・世間万病回春(1771)四「くさめが一ツ出るやいなやそれ医師と迎ひ駕(かご)ヤレ旦那御不例と事も大そうに立さわぐを」
③ おっくうであるさま。めんどうであるさま。大儀。
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)二「おきるのが大(タイ)さうな明日の事にと云つつ」
[2] 〘副〙 程度、数量などがはなはだしいさまを表わす。非常に。大変。ひどく。
古道大意(1813)上「此の世界は、大造(タイサウ)広く大きいことで、国も勿論たんと有る」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「大層立派に御化粧が出来ましたね」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「大層」の意味・読み・例文・類語

たい‐そう【大層】

[形動][文][ナリ]
程度や分量がはなはだしいさま。たいへん。ひどい。「大層な暑さ」「大層剣幕で怒りだす」
おおげさなさま。ぎょうさん。「つまらないことを大層に言う」
大規模なさま。りっぱであるさま。「大層な学者」「大層披露宴
[副]非常に。たいへん。「大層役に立つ」
[用法]大層・大変――「大層(大変)面白い映画だった」「私は大層(大変)驚いた」など、はなはだしさをいう場合には相通じて用いられる。◇「大層」は「大変」に比べ、やや改まった場面で使う。「大層困惑致しおります」◇おおげさなさまを表す「大層」に「」が付いて、あまりにもおおげさである、おおげさなわりに中身がないの意で使われることがある。「御大層なあいさつにはあきれた」「御大層な結婚式でうんざりした」◇「大変」には容易でない、重大だ、の意の形容動詞用法がある。「あの山に登るのは大変だ」「大変なことになった」など。なお、「大層だ」の形は普通は使われない。
[類語]2御大層らしい大層らしい仰仰しい誇大大袈裟おおげさオーバー事事ことごとしい大仰おおぎょう針小棒大見栄を張る尾鰭おひれを付ける虚勢を張る気を持たせるもったい振る体裁振る勿体臭い気取る澄ます格式張る背伸び思わせ振りしなを作る大人振る見せ掛け見せ掛ける行い澄ます取り澄ます飾り気虚栄自意識過剰お高くとまるお高い芝居がかる猫かぶり猫をかぶるもっともらしいびるへつらおもねる取り入る胡麻ごますり阿諛あゆおためごかし卑屈へつら取り巻くこびを売る胡麻ごまをする鼻息をうかが太鼓を叩く機嫌を取る尻尾を振る歓心を買う色目を使う秋波を送る気を引く気を持たせる調子を合わせる追従ついしょうおべっかおべんちゃら諂巧てんこう諂阿てんあ諂曲てんごく諂笑てんしょう諂媚てんび諂諛てんゆ阿付迎合へいへいへいこらぺこぺこ曲学阿世味噌を意を迎える随分とても非常大変異常極度けた外れ桁違い並み外れ格段著しい甚だしいすごいものすごい計り知れない恐ろしいひどいえらい途方もない途轍とてつもないこの上ない筆舌ひつぜつに尽くしがたい言語げんごに絶する言語ごんごに絶する並並なみなみならぬ極めて至ってはなはすこぶ至極しごくごくいとも実にまことに大いにいたく・ひどく・恐ろしくすごくものすごく滅法めっぽうさんざっぱらさんざんさんざこってりめちゃくちゃめちゃめっちゃ底抜け恐るべきこよなく殊の外ひときわ特段度外れ法外べらぼうとんでもない類がない比類ない無上よっぽど度が過ぎる行き過ぎどえらい飛び切り段違い圧倒的かけ離れる

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