大子(町)(読み)だいご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大子(町)」の意味・わかりやすい解説

大子(町)
だいご

茨城県北部、久慈郡(くじぐん)にある町。1891年(明治24)町制施行。1955年(昭和30)黒沢、佐原(さわら)、依上(よりかみ)、宮川(みやかわ)、袋田(ふくろだ)、生瀬(なませ)、上小川(かみおがわ)の7村、および下(しも)小川村の一部と合併。阿武隈(あぶくま)高地南端の久慈山地と八溝(やみぞ)山地に囲まれ、中央を久慈川が流れる。八溝山(1022メートル)は茨城県の最高峰で福島県境にある。冬の寒さは厳しく「シガ」とよばれる川の流氷現象がみられる。JR水郡(すいぐん)線、国道118号、461号が通じる。金の産地と陸奥国(むつのくに)に通じる街道(南郷街道(なんごうかいどう))の宿駅が置かれた重要地域で、中世は陸奥国白河郡に属し、依上保(よりかみのほ)といわれた。戦国時代、佐竹氏の支配地であったが、江戸時代、徳川水戸藩領となった。依上保の域内は保内郷(ほないごう)とよばれ、1955年の合併は保内郷1町8村がまとまったもの。コンニャク、茶、リンゴ、ワサビ、湯葉などが特産で、林業が盛んである。かつて馬産地であったが、肉牛生産・酪農地にかわった。町域一帯は奥久慈県立自然公園に指定されている。袋田の滝、袋田温泉、大子温泉などのほか、全国植樹祭跡地にできた奥久慈憩(いこい)の森があり、観光休養地である。「浅川ささら」は県指定無形民俗文化財。面積325.76平方キロメートル、人口1万5736(2020)。

[櫻井明俊]

『『大子町史料』全6巻(1976~1981・大子町)』


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