大壇(読み)おおだん

日本歴史地名大系 「大壇」の解説

大壇
おおだん

[現在地名]福島市岡部

岡部おかべ村の北西部、阿武隈川右岸近くに位置する。寛永年間(一六二四―四四)米沢藩の福島奉行古河善兵衛(重吉)が阿武隈川洪水の避難地として築造した壇で、愛宕神社が祀られる。「信達一統志」には愛宕堂として「福島道の側にあり、寛永年中上杉家の臣古川重吉と云人大なる壇を築き大熊川洪水のとき邨民老若女童を登らしめ水難を救へしなり、享保八年八月十日洪水し土地を欠田畑を損すること大なり、其時婦女小児等此壇に登り、其死を逃る是もまた古川氏の恩徳なり、今世愛宕権現をまつり里社と為す、三月二十四日祭礼なり」とある。

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改訂新版 世界大百科事典 「大壇」の意味・わかりやすい解説

大壇 (だいだん)

仏事の法具名。密教立(みつきようだて)の法要のとき,導師どうし)が修法に用いる正方形大型の壇。四隅に細い棒状の橛(けつ)という柱を立て,これに壇線という五色の糸でよった縄をからませて四方を囲む。修法に直接かかわる法具は,導師の直前の真ん中に据えた火舎(金属製の香炉),その左右に三つずつ並べた碗状の六器(ろつき),火舎のすぐ向う側に据えた金剛盤上の金剛鈴と五鈷(ごこ)などである。なお,盤上五鈷の向う左右には三鈷と独鈷を据える。これらはすべて,壇の左正面・右正面・向う正面にも同じ配列で置かれる。壇上四隅には花瓶(けびよう),その左右に飯食(ぼんじき),その中央寄りに羯磨(かつま),壇中央には宝塔と輪宝(りんぼう)を置く。これがだいたいの飾り方だが,宗派や修法の違いで細部は変わる。たとえば前述のほかに四隅の灯明が欠かせないが,これを壇上に置くか壇外に置くかなどである。大壇は四方正面の飾り方が同じなので,その法具を併せて四面器と称するが,略式長方形の修法壇では,その4分の1に当たる一面器を置く。なお,壇の手前には導師の座である礼盤(らいばん)/(らいはん)を,礼盤の左側には脇机(わきづくえ)を,右側にはけい)を釣った磬架(けいか)を置き,脇机の上には塗香器(ずこうき),柄香炉(えごうろ)などを備える。
密教法具 →六器
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普及版 字通 「大壇」の読み・字形・画数・意味

【大壇】だいだん

天壇

字通「大」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の大壇の言及

【壇】より

…堂の本尊を安置してある須弥壇(しゆみだん)は別として,法要の種類により必要な壇が違い,それを所定の位置に据える。多用されるのは,密教立(みつきようだて)の法要に用いる大壇(だいだん)と護摩壇(護摩)で,大壇は略式の修法壇で代用することもある。そのほか,聖天壇(しようてんだん),十二天壇,神供壇(じんくだん),灌頂壇(かんぢようだん),表白壇,施餓鬼壇(せがきだん)など壇の種類は多い。…

【密教法具】より

…やがて,壇上に火舎(かしや)(香炉)を中心に六器(ろつき),花瓶(けびよう),飯食器(おんじきき)などをそろえた一面器,さらに四面器を配するなど,密法法具の整備拡充が進む。和歌山県那智経塚の出土品の中から,四橛,羯磨,花瓶のほかに,4口の火舎や六器などの一括遺品が発見され,平安後期には一応,大壇(だいだん)が形成されていたものと考えられている。
[種類]
 (1)金剛杵 古くインドの武器で,帝釈天や金剛力士の持物でもある。…

※「大壇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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