大垣市(読み)オオガキシ

デジタル大辞泉 「大垣市」の意味・読み・例文・類語

おおがき‐し〔おほがき‐〕【大垣市】

大垣

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日本歴史地名大系 「大垣市」の解説

大垣市
おおがきし

面積:八〇・二六平方キロ

県西部の濃尾平野北西端に位置し、北は安八あんぱち神戸ごうど町・揖斐いび池田いけだ町・本巣もとす巣南すなみ町、東は安八郡安八町・輪之内わのうち町、南西は養老ようろう郡養老町、西は不破郡垂井たるい町に接する。市の東端を揖斐川、西端から南端をあい川・杭瀬くいせ川・牧田まきだ川が流れ、市域の境をなす。水門すいもん川・大谷おおたに川・新規しんき川・中之江なかのえ川などの小河川は低湿な市域内を南流して最終的に揖斐川に合流する。かつては杭瀬川が揖斐川の本流であったが、享禄三年(一五三〇)の洪水により揖斐川の流路は現河道に変化した。揖斐川などの下流域の住民は、近世初期以降、堤防を築造して洪水の被害から集落・耕地を守った。これが輪中で、当市域にも複合輪中の大垣輪中などがある。輪中の住民のうち資力のある者は、屋敷内に水屋を建て、洪水の際に避難したが、水屋のない者は微高地に設けられた助命壇に逃れた。輪中内には郷倉・屋敷森・堀田・株井戸など独特の景観がみられたが、第二次世界大戦後、堀田は消滅し、水屋も減少し、輪中堤も除去されて、景観は大きく変化した。年間降水量は一五〇〇ミリ前後、四月・六月・九―一〇月が多く、三月・一二月はとくに少ない。積雪は年数回あるが、一〇センチ前後。気温は年平均摂氏一六度内外で、七月が最高で約二九度、二月が最低で約三度。市域は「水都」ともよばれて自噴水地帯にあり、良質多量の地下水を条件に工場誘致が進み、繊維工場を中心にした近代工業都市に発展している。市名は中世以来の地名にちなみ、暦応三年(一三四〇)大井庄華厳会料名寄帳(東大寺図書館蔵)に「大柿殿」、文安三年(一四四六)九月一五日の室町幕府奉行人連署奉書案(大橋文書)に「大垣中務丞氏信」とみえる。

〔原始〕

当市域でも古生代と新生代に地殻変動による海底の隆起と沈降が繰返され、この間に市域北部の金生きんしよう山が生れ、木曾三川による堆積作用も進んで沖積平野が形成された。市域では縄文遺跡は未発見であるが、弥生遺跡は金生山南の台地上の昼飯ひるい牧野まきの赤坂あかさか片原木かたはらぎで発見され、平野部では南一色みなみいつしき遺跡を代表として約三〇ヵ所が知られる。また、明治三四年(一九〇一)十六じゆうろく町で出土した銅鐸は、小型で古い形式に属する。古墳は金生山の南麓から平野部にかけて密集している。市域北西部は早くから大和文化の影響を受け、県下最大の前方後円墳である昼飯大塚ひるいおおつか古墳をはじめ、矢道やみち町の長塚ながつか古墳、青墓あおはか町の遊塚あそびづか古墳・粉糠山こぬかやま古墳、昼飯町の花岡山はなおかやま古墳群など、大規模な前方後円墳がある。

大垣市
おおがきし

2006年3月27日:大垣市が養老郡上石津町、安八郡墨俣町を編入
【上石津町】岐阜県:養老郡
【墨俣町】岐阜県:安八郡
【大垣市】岐阜県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大垣市」の意味・わかりやすい解説

大垣〔市〕
おおがき

岐阜県南西部,美濃平野 (→濃尾平野 ) の西部にある市。東と西に飛び地がある。 1918年市制施行。 1949年中川村,1951年和合村,1952年三城村,1954年荒崎村の大部分,1967年赤坂町,2006年上石津町,墨俣町をそれぞれ編入。中心市街地は揖斐川西岸標高 10m以下の沖積低地で,弥生土器の出土地や古墳群があり,古くから開けていた。8世紀には東大寺の荘園,大井荘が置かれ,『延喜式』駅伝条には不破駅 (市街地西方の青墓) がみられる。天文4 (1535) 年大垣城が築城。関ヶ原の戦いの際,一時西軍の本拠地となる。寛永 12 (1635) 年戸田氏銕入城,以後戸田氏 11代,10万石の城下町として繁栄 (→大垣藩 ) 。美濃路の宿駅も兼ね,また伊勢湾へ通ずる水運の要衝でもあり,一帯の政治,文化,交通の中心地として明治にいたった。以後,県庁が岐阜市に設置されて政治機能を失い,1891年の濃尾地震,1896年前後のたび重なる水害による打撃を受けて市勢は一時衰退したが,豊富な地下水と揖斐川水系の電力,東海道本線の開通により明治末期から繊維,化学工業が発達。第2次世界大戦中は金属・機械工業の比重が増した。戦時中5回の空襲により市街の大半を焼失。戦後市街地は復興。工業生産も増加し,繊維,化学,食品,輸送用機械,一般機械などの工業が発達。農村部では,米作,花卉栽培が行なわれる。国の史跡の美濃国分寺跡や昼飯大塚古墳,国の重要文化財桑原家住宅のほか,円興寺,徳勝寺,大垣城,一夜城として知られる墨俣城など名所に富み,梁川星巌記念館,歴史民俗資料館,金生山化石館など文化施設も多い。一之瀬のホンシャクナゲ群落は国の天然記念物に指定されている。また,松尾芭蕉の『奥の細道』結びの地としても知られる。市域の一部は揖斐関ヶ原養老国定公園に属する。 JR東海道本線大垣駅から樽見鉄道や近畿日本鉄道揖斐線,養老線などが分岐。国道 21号線,258号線,365号線,417号線が通り,1964年名神高速道路の大垣インターチェンジが設置された。面積 206.57km2。人口 15万8286(2020)。

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