大和棟(読み)やまとむね

精選版 日本国語大辞典 「大和棟」の意味・読み・例文・類語

やまと‐むね【大和棟】

〘名〙 大和地方を主として、河内・山城南部地方に多く見られる切妻造民家の一形式中央大屋根急勾配茅葺とし、その両妻に近い部分を瓦葺とし、両妻面は大壁左右または片方台所などの緩勾配屋根を一段低く設けた独特の屋根形。高塀造(たかへづくり)

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デジタル大辞泉 「大和棟」の意味・読み・例文・類語

やまと‐むね【大和棟】

奈良県大阪府河内地方・三重県伊賀地方で行われた民家の一形式。急な勾配の藁葺わらぶき屋根の両妻部分を瓦葺きにして、一段低く緩勾配の屋根を設けたもの。高塀造たかへづくり

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「大和棟」の解説

やまとむね【大和棟】

瓦(かわら)屋根の上にきつい勾配(こうばい)の茅葺(かやぶ)き屋根をのせ、妻側に瓦葺きの袖壁高塀(たかへ))をつけた形式の民家。奈良県・大阪府などに見られる。◇「高塀造り」ともいう。

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百科事典マイペディア 「大和棟」の意味・わかりやすい解説

大和棟【やまとむね】

高塀造(たかべいづくり)

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世界大百科事典(旧版)内の大和棟の言及

【卯建】より

…〈うだつ〉は,富や格式の高さを象徴する一つの方法であり,〈うだつが上がらぬ〉はよい身分になれないことのたとえである。大和・河内地方でおこなわれている高塀造,いわゆる大和棟は,〈うだつ〉の上がった家構えであり,江戸時代には大庄屋,庄屋層などの家の格式を示す形式であり,18世紀中ごろ以降に成立し,明治以降は一般農家にも普及するようになった。ただ〈うだつ〉は,全国的には農家でなく,町家に多く用いられ,富の蓄積を示すこととなった。…

【奈良[県]】より

…雨の多い南半部では,吉野川上流に津風呂ダム(1962完成),大迫ダム(1973完成)をつくって貯水し,灌漑期に導水トンネル(1956完成)を通して奈良盆地へ引水する吉野川分水事業が進められ,1984年までに奈良盆地のほぼ全域に灌漑用水がゆきわたるようになった。また民家の様式においても対照的で,奈良盆地では草屋根の両切妻を白壁のしっくいで塗りかため,冬の乾燥期の火災防止の意図がみられる大和棟が特徴的であったのに対し,吉野山地では急な傾斜面に石垣を築き,表からは1階,裏からは2階,3階とみえるような吉野造が特徴的である。北と南の対照はさらに奈良盆地を中心とする農業地域と吉野山地の林業地域,人口の過密と過疎,交通網の整備と未整備などの点においても指摘することができる。…

【民家】より

…棟端の飾りとしては,〈みんのす〉という馬の耳のような飾りをつける佐賀県の民家,板葺き屋根の端に〈烏威(からすおどし)〉と呼ぶ独得な飾りをつける長野県松本平の民家などがある。また,切妻造の茅葺き屋根の妻面を保護するため,屋根の端を瓦で押さえた高塀(たかべい)造(大和棟(やまとむね))や,屋根端に卯建(うだつ∥うだち)と呼ばれる小棟を設けた町家などがある。また,瓦葺き屋根の民家や多雪地帯の民家では,囲炉裏(いろり)や竈(かまど)の煙を外へ出すため,屋根の一部を切り上げたり,棟をまたいだ小屋根(越屋根)を設けるが,これも屋根の装飾を特徴づけている。…

※「大和棟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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