大友 柳太朗(読み)オオトモ リュウタロウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「大友 柳太朗」の解説

大友 柳太朗
オオトモ リュウタロウ


職業
俳優

本名
中富 正三

別名
初名=中富 大輔,前名=大友 柳太郎,号=想々

生年月日
明治45年 6月5日

出生地
山口県 玖珂郡麻里布村柱島(岩国市)

出身地
愛媛県 松山市

学歴
松山中(旧制)〔昭和5年〕卒

経歴
生魚問屋を営む資産家に生まれるが、大正9年父の事業の失敗を機に家産が傾き、少年時代は転居を繰り返す。14年松山中学(松山東高)に進学。在学中は短歌俳句などの文学に親しみ、同級生であった石田波郷を俳句へ導き、昭和3年にはともに同人誌「草光会誌」を発行した。卒業後は大学進学を志したが、学費が続かないため断念し、俳優志望に転向して上阪。道頓堀角座で新国劇月形半平太」を見たのがきっかけで、同年新国劇に入門し、辰巳柳太郎師事、中富大輔を名乗った。11年新興キネマ京都撮影所にスカウトされ、師・辰巳から名を貰って大友柳太郎を芸名とし、12年「青空浪士」の主演に抜擢され映画デビュー。以後、「佐賀怪猫伝」「吉田御殿」「元禄女大名」など時代劇で活動し、明朗・素朴な二枚目として中堅スターの地位を確立した。17年より日活・新興キネマ・大都映画が合併して設立された大日本映画(大映)に所属し、「維新の曲」などに出演。18年応召し、中国北部に出征。21年復員し、大映の「天下の御意見番を意見する男」の一心太助役で復帰するが、まもなく連合国軍総司令部(GHQ)のチャンバラ映画禁止令によって時代劇映画が製作できなくなったため、現代劇活路を見出す一方、劇団新星座を率いて地方を巡業した。25年マキノ光雄の誘いで東横京都(26年東映に合流)に移籍し、チャンバラ映画解禁と共に、27年大友柳太朗に改名。当初は脇役に回ったが、28年佐伯清監督「加賀騒動」で演じた大槻伝蔵役が好評を博し、復活を果たす。さらに同年主役・黒頭巾を演じた「快傑黒頭巾」が大ヒットし、以降シリーズ化されたほか、〈丹下左膳〉〈右門捕物帖〉シリーズや「紅孔雀」「大地の侍」「仇討崇禅寺馬場」などのヒット作に主演し、東映時代劇黄金期を代表するスターの一人となった。32年には日本最初のシネマスコープ作品「鳳城の花嫁」に主演。38年NHK大河ドラマ「赤穂浪士」に出演したのを機にテレビにも進出。42年には名古屋御園座で31年ぶりに新国劇公演に参加した。晩年は存在感のある老け役として注目され、テレビでは「編笠十兵衛」「国取り物語」「なっちゃんの写真館」「北の国から」「水戸黄門」、映画では「炎のごとく」「刑事物語 くろしおの詩」「タンポポ」など、時代劇・現代劇の両方で好演した。歌人として、歌集「渚」がある他、54年に出た「昭和万葉集」に自作4首が採録されている。60年自宅マンションから飛び降り自殺した。

没年月日
昭和60年 9月27日 (1985年)

家族
息子=中冨 雅之(作曲家)

伝記
木久扇のチャンバラスターうんちく塾資料が語る丹下左膳の映画史―大河内伝次郎から豊川悦司まで新興チャンバラ黄金時代―石割平コレクション大友柳太朗快伝男優女優の昭和誌 林家 木久扇 文・絵田中 照禾 著石割 平 編・著,円尾 敏郎 編大友柳太朗友の会 編はが やすし 著(発行元 小池書院川喜多コーポレーション,展望社〔発売〕ワイズ出版ワイズ出版人間の科学社 ’07’04’01’98’92発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「大友 柳太朗」の解説

大友 柳太朗
オオトモ リュウタロウ

昭和期の俳優



生年
明治45(1912)年6月5日

没年
昭和60(1985)年9月27日

出生地
山口県岩国市柱島村

出身地
愛媛県松山市

本名
中富 正三

別名
初名=中富 大輔,前名=大友 柳太郎

学歴〔年〕
松山中(現・松山東高)〔昭和5年〕卒

経歴
昭和5年新国劇に入って辰巳柳太郎に師事。11年新興キネマの京都撮影所に入社、翌12年大友柳太郎を芸名に「青空浪士」でデビュー。以後、明朗・素朴な二枚目として中堅スターの地位を確立。17年大日本映画(大映)に移り、「維新の曲」などに出演。18年応召し、21年復員、大映に復帰。25年東横京都(26年東映に合流)に移り、27年より柳太朗を名のる。以後、「加賀騒動」「仇討崇禅寺馬場」、「快傑黒頭巾」「丹下左膳」「右門捕物帖」シリーズなどに主演し、黄金期の東映時代劇のスターとして活躍。32年には日本最初のシネマスコープ作品「鳳城の花嫁」に主演。時代劇映画の時代が去るとテレビでも活躍、「編笠十兵衛」「北の国から」などのドラマで好演。また中学時代から短歌に親しみ、54年に出た「昭和万葉集」には自作の4首が採録されている。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

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