大前田英五郎(読み)オオマエダノエイゴロウ

デジタル大辞泉 「大前田英五郎」の意味・読み・例文・類語

おおまえだ‐の‐えいごろう〔おほまへだ‐エイゴラウ〕【大前田英五郎】

[1793~1874]江戸末期の博徒ばくと上野こうずけ国勢多郡宮城村大前田(現前橋市)の人。15歳地元博徒を殺して逃走。のちに名古屋中心勢力をもった。

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改訂新版 世界大百科事典 「大前田英五郎」の意味・わかりやすい解説

大前田英五郎 (おおまえだえいごろう)
生没年:1793-1874(寛政5-明治7)

幕末・維新期の博徒。本姓田島上野国勢多郡宮城村大字大前田の出身名主家柄だが,父久五郎,兄要吉ともばくち打であり,英五郎は博徒仲間としばしばけんかをし,相手を殺し逃走した。東海道諸国を転々としていたが,関東取締出役に捕らえられ,佐渡銀山の人足に送られるも島破りをし帰国した。諸国の博徒を支配下におき,十手を預かり目明しもしたが,大前田村自宅で没した。
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朝日日本歴史人物事典 「大前田英五郎」の解説

大前田英五郎

没年:明治7.2.26(1874)
生年寛政5(1793)
江戸後期の侠客。本姓は田島氏。上野国(群馬県)勢多郡大前田村生まれ。祖父は名主を勤めたといわれるが,父久五郎が草相撲で鳴らした博徒であったため,15歳で縄張り争いに加わり,25歳のとき久宮丈八を殺しておたずね者となった。捕らえられ佐渡に流刑されるが,島抜けして尾張(名古屋)に勢力を張り,尾張藩の庇護を受ける二足草鞋の大親分となった。幕末期各地に族生した博徒同士の縄張り争いの仲裁役を本領とし,顔役として縄張りをもらっては勢力を拡大し,関東から東海地方にまで影響力を持ったといわれる。一貫してお上に立ち向かった武闘派博徒の国定忠治とは異なり,二足の草鞋をうまく使い分け,晩年は郷里大前田に帰って82歳の大往生を遂げた。上州の博徒関係者が建立した墓碑には「あらうれし行先とほき死出の旅」の辞世が刻まれている。

(高橋敏)

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百科事典マイペディア 「大前田英五郎」の意味・わかりやすい解説

大前田英五郎【おおまえだえいごろう】

幕末維新期の博徒。上州勢多(せた)郡大前田村の名主の子に生まれたが,博徒となり人を殺して逃走。諸国を転々としたが関東取締出役に捕らえられ佐渡へ流された。のち島破りをして郷里に帰り目明しを勤める。
→関連項目博徒

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大前田英五郎」の意味・わかりやすい解説

大前田英五郎
おおまえだえいごろう
(1793―1874)

江戸末期の侠客(きょうかく)。上州大前田(群馬県前橋市大前田町(おおまえたまち))出身。姓は田島、名主の出だが、父も兄も博徒(ばくと)。15歳で人を殺して出奔、各地を転々とし、賭博(とばく)の罪で佐渡送りになるが、島破りの後、流浪のすえ名古屋を中心に博徒の親分として勢力を得た。旅から旅を重ねながらも多数の子分をもち、博徒仲間では重んじられ、郷里で病没した。墓碑に刻んだ「あらうれし行きさきしれぬ死出の旅」は、逮捕を恐れて一生を終わった博徒の辞世として趣(おもむき)がある。

[稲垣史生]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大前田英五郎」の解説

大前田英五郎 おおまえだ-えいごろう

1793-1874 江戸時代後期の侠客(きょうかく)。
寛政5年生まれ。25歳のとき博徒の久宮(くぐう)丈八を殺し逃走。のち尾張(おわり)名古屋藩に出入りを許され,名古屋を中心に東海道で勢力をふるう。十手をあずかり,大親分として賭場(とば)の仲裁役を主とした。明治7年2月26日死去。82歳。上野(こうずけ)(群馬県)出身。姓は田島。名は栄五郎ともかく。
【格言など】あらうれし行くさきとほき死出の旅(辞世,墓碑銘)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大前田英五郎」の意味・わかりやすい解説

大前田英五郎
おおまえだえいごろう

[生]寛政5(1793).上野,大前田
[没]1874. 上野,大前田
江戸時代末期の侠客。姓は田島。関東第一の盟主として博徒から仰がれた。代々百姓で,名主の家柄であった。

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